シュンです。
世界旅行記、2017年9月のジョージア~トルコ編です。
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ジョージアから国境を越えてトルコへ
2017/9/15 ジョージア~トルコ(バトゥミ~リゼ~トラブゾン)
朝食を食べ、準備をして、チェックアウトをする。
今日はトルコへ向かう。
ロープウェイ乗り場前のバス停から17番バスで国境へ。運賃は1人0.8ラリ(約32円)。
国境近くの売店でピロシキを買った。
ここは街なかと比べて、すこし割高だけど仕方がない。残っている小銭を使い果たした。
アルメニア、ジョージアでハマっていたポテト入りのピロシキを食べ納め。
ジョージア/トルコの出入国はトルコ側のイミグレで荷物のX線検査があっただけで、すぐに終わった。
時差は1時間。
トルコのイミグレを出てすぐのところではたくさんのバスが待機していたので、少し離れたところまで歩いてヒッチハイクをはじめる。
今日はトラブゾンまで行くつもりなので、まずは途中のリゼという街を目指す。
トルコ人2人組の先客がいたので、挨拶を交わした後、ヒッチハイクは順番なので座って見ていると、すぐに車が止まり乗せてもらっていた。
自分たちの番になり、立ち上がって手を挙げる。
車自体は少ないけれど、みんなジェスチャーや顔で反応してくれる。
今日は行き先を書いたスケッチブックなしでも大丈夫そうだ。
その後30分の間に2台の車が止まってくれたが、ここからすぐ近くのホパという街までだったので、お礼を言って断った。
次に停まってくれる車があったら、ホパまででも乗せてもらおう。と話していたところに、新しくトルコ人のヒッチハイカーが来た。
彼によると、トルコのこのあたり(東部、黒海沿岸)ではヒッチハイクをする人が多く、簡単に車が見つかるらしい。
彼もホパに行くようだったので、一緒にやることにした。
「ペンを持っているか?」と聞かれたので手渡すと、ポケットからメモ帳のような紙切れを出して、そこに「Hopa」と書いて掲げはじめた。
いや紙ちっちゃすぎでしょ!
そうこうしている間に1台の車が停まってくれて、3人とも乗せてもらえることになった。
ホパにはすぐに到着した。
乗せてくれたおっちゃんにお礼を言って、降りた国道沿いで手を挙げると、1分くらいですぐに車が停まってくれた。
リゼの少し手前あたりまで、1時間くらい乗せてもらった。
リゼのチャイとヒッチハイク
ここからリゼの街までは4kmくらいある。
ヒッチハイクを続けていると、10分くらいで車が止まってくれた。
乗せてくれた男性は、英語はあまりしゃべれないみたいだけど色々話しかけてくれる。
「リゼはチャイが有名なんだよ、ちょっと飲んでく?」
これから家族でチャイを飲みに行く予定のようだ。
リゼは紅茶(チャイ)の産地として有名な街で、ちょうど寄ろうとしていたので、ありがたい誘いだった。
リゼの街の周りはよく見ると茶畑ばかりだ。
面白い景色だなあ。
車で奥さんと息子を迎えに行き、一緒にチャイクル社のティーガーデンに行った。
イシャックさんと奥さんのジャミリヤさん、息子のニハト。
家に赤ちゃんもいるらしい。
ジャミリヤさんは絵描きで、着物の女性の絵や錦鯉の絵など、大きなキャンバスに描いた絵の写真を見せてくれた。
日本が好きで、ときどきそういうモチーフの絵を描くのだそうだ。
チャイは注文してから15分くらいかかってようやく運ばれてきた。
そしてテーブルの上でも温めて、さらに15分くらい待った。
トルコのチャイは以前東京のジャーミィ(モスク)で買って飲んだことがあるので、時間をかけて煮出して飲むことは知っていたけれど、まさかこんなに時間がかかるとは。
2段ポットには上の段に紅茶、下の段にお湯が入っていて、濃く渋く煮出した紅茶とお湯をグラスに注いで飲む。
イランのチャイにも似ているけれど、トルコでは砂糖はチャイに加えて飲む。
トルコでは、チャイに加える砂糖の摂り過ぎによる健康被害が問題になっているらしい。
だったらこんなに渋くせずに砂糖なしでお茶を飲めばいいのに…
代金は当然のように払ってくれてしまった。
チャイを飲んでいた時間は10分くらい。あんなに待ったのにあっさりだな~笑。
併設のショップでここ(チャイクル社)の紅茶を買おうとしていたら、イシャックさんが横からお金を出して「いいよいいよ!払うから」と買ってくれた。
しかも2缶も。
リゼに来た目的、「チャイを飲んで茶葉を買う」が予想外に簡単に果たされた。
このあとは食事に行くらしく「お腹空いてる?」と聞かれたので、せっかくだからご一緒させてもらおうと思い行くことにした。
しかしレストランに向かう車中、なにか様子がおかしい。
すごく急いでいるように見えたけれど、言葉が分からないので状況が分からない。
店に着いて車を降りると、ニハトはそのまま車に残っている。
ちょっと良さそうなレストランに入り、イシャックさんが店の人と挨拶を交わした後、なにやら話している。
ここでやっと状況が掴めた。
僕たち2人分の注文をして料金を先払いして、店の人にこの2人をよろしくと伝えて帰ろうとしているようだ。
下の子(赤ちゃん)の用事で、帰らなきゃいけなくなったらしい。
一緒に食事を、と思って来たので、払ってもらって2人だけで食べるのはかなり気が引けたけれど、本当に急いでいるみたいだったし、この状況で親切を断るのはそれはそれで失礼だと思ったので、ありがたく料理をいただくことにした。
「何が良い?ケバブ?」
「はい!ケバブで!」
「ミックスケバブで良い?」
「それでお願いします!」
「デザートは?」
「いやデザートはけっこうです!(さすがに申し訳ない)」
お礼を言うと、2人は車に戻っていった。
ヒッチハイクで乗せてくれただけじゃなく家族のチャイにも連れて行ってくれて、レストランで食事までごちそうしてくれている。
本当に親切過ぎて、なんて言えば良いのか分からない。
あとで、フェイスブックでもう一度お礼のメッセージを送っておこう。
運ばれてきたミックスケバブはマトン、ビーフ、チキンなど色々あり、1人1皿ずつだった。
煮た麦?とポテトも添えられていて、すごいボリュームだ。
さらに別で大皿のサラダもきた。
お腹いっぱいだ~と思っていたら今度はデザートが運ばれてきた。
焼きライスプディングが1人1つずつ。
デザートまでは申し訳ないから断ったのに、頼んでおいてくれたんだなあ。
米をミルクで煮て、オーブンで焼いて表面に焦げ目をつけて、砕いたナッツを載せたような感じ。
あまーくてうまい。
「チャイはいるか?」と聞かれ、それくらい自分たちで払おう、値段もそんなに高くはないだろうと思って注文した。
甘いライスプディングとチャイが合う。
もう16時くらいだったし満腹だったので、料理の半分くらいはパックしてもらい夕飯用に持ち帰ることにした。
チャイの分の料金を払おうと会計を頼むと、店員のお兄さんは「いらないよ」と言う。
さらに「ここからトラブゾンまでの行き方は分かる?そこの道を真っ直ぐ行くとドルムシュ(バス)乗り場があるから、そこから乗れるよ。タクシーだと100リラくらいするけど、ドルムシュは15リラでベリーチープだよ。」とトラブゾンへの行き方も教えてくれた。
店を出ようとしているところで、イシャックさんが戻ってきた。
イシャックさんがドルムシュ乗り場まで送ってくれたので、ヒッチハイクをしようと思っていたけどここはドルムシュで行くか。
車を見つけて料金を払おうとすると、イシャックさんが「払わなくて良い」とここも出してくれた。
予想外でびっくりしたけれど、ここはトルコ。イスラム教の国なのだ。親切の仕方や内容は日本とは違う。
正解は分からないけれど、最後までしっかりと親切を受けることが礼儀なのではないかと、僕たちは思っている。
パキスタンやイランでも同じようにびっくりするような親切を受けていて、そのときに考えたことだ。
ここまで一気に色々な親切を受けると、嬉しさやありがたさを通り越して、申し訳なさや自分たちのみすぼらしささえ感じてしまう。
でも消化しきれないほどのありがたい感情を味わえることは、本当に貴重なことだとも思う。
ヒッチハイクとは、「見ず知らずの人から無償の優しさを受ける」という、けっこう図々しいものだという自覚がある。
「ヒッチハイクは出会いがあって楽しいし、公共交通機関に縛られず選択肢が増えるし、後先を計算できない状態がおもしろいし、節約もできる」という実用的(自己利益)な理由で、「1時間くらい経って見つからなければバスに乗ろうかな」とか、そんな呑気な気持ちでやっているときも多い。
それに対して、車を止めて声をかけてくれたり、乗せてくれる人がいる。
そしてその人たちは、いつも僕たちが期待している以上のものを与えてくれる。
もう驚きでしかないし、良い意味でショッキングなことだ。
そして人から親切を受けたら、その人にも何かを返したいし、今度は自分が別の人に親切にしたくなる。
これはヒッチハイクに限った話ではなくて、「旅」自体に対して言えることでもあると思う。
「旅人が増えたら世界は良くなる」みたいなことはときどき言われているけれど、僕も旅人は増えてほしいと思っている。
様々な世界を見て様々な人と会い、消化しきれないほどの喜びや感動、驚嘆、衝撃、ときには悲しみや苦しみ、憎しみを、味わったほうが良いと思う。
ありがたいことに、僕たちは旅の中で、日々消化しきれないほどの喜びや感動を感じることができている。
だから僕たちはこれからも旅を続けるし、ときどきヒッチハイクもする。人の家にも泊めてもらう。
そして自分たちも、別の誰かに何かをまわす。
旅をして色々な国を知り、ポジティブな感情や学びを得ることは、グローバル化と言いつつ閉鎖的で差別の絶えない世界への、小さな反発になるのではないだろうか。
この当時にそこまで考えていた訳ではないけれど。
ドルムシュはいつのまにか茶畑のある景色を抜け、トラブゾンに到着した。
目星をつけていた宿にチェックインをして、夜の街を歩きまわり、トルコの感じを味わった。
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