飛行機が遅延したときに、航空会社への補償金請求を代行してくれるAirHelpというサービスがあります。
今回は、このAirHelpの紹介と、実際に利用したときの流れ、提出した書類などをまとめます。
AirHelpとは

AirHelpは、飛行機が遅延したときに、航空会社への補償金の請求を代行してくれるサービスです。
航空旅客の権利を専門とする弁護士チームを擁し、35か国以上・17言語でサービスを提供しています。
ヨーロッパ(EU)では航空遅延が起きた際の乗客の権利について法律で定められているのですが、実際に自分で航空会社を相手に補償請求をするのは難しいです。
このような場合、過去3年以内のフライトを対象として、AirHelpに補償請求代行を依頼することができます。
AirHelpのサービス料が発生するのは、航空会社から補償金が得られた場合のみです。
申請をして交渉を進めてもらった結果、補償が受けられなかった場合は、費用は一切発生しません。
AirHelpを利用した結果、補償金が得られなかったとしても損はしないので、試してみる価値はあります。
AirHelpを利用して航空会社から補償金を得られるケース
AirHelpでは、以下のようなケースで補償金が得られる可能性があると案内しています。
- フライトの欠航:フライトが欠航した場合、航空会社による払い戻しの他に、補償金が得られる可能性があります
- フライトの遅延:フライトが欠航していなくても、3時間以上の遅延で補償金が得られる場合があります
- フライトの乗り継ぎ接続ミス:乗り継ぎを含めて最終目的地への到着が3時間以上遅れた場合、補償金が得られる場合があります
AirHelpのトップページ(または以下の入力フォーム)から自分のフライトが補償の対象かどうかを確認することができるので、まずは気軽に入力フォームで確認してみると良いと思います。
▼AirHelpの補償確認フォーム
サービス料と法的処置手数料
AirHelpは完全成果報酬制です。
- AirHelpが補償金請求を代行した結果、航空会社からの補償を受けられた場合:補償金の35%
- 補償金請求だけではなく、訴訟が必要だった場合:補償金の35%+法的処置手数料(補償金の15%)=補償金の50%
サービス料が高い気はしますが、個人で航空会社とやり取りするのはけっこう大変なので、補償が受けられないよりはマシだと思います。
上にも書きましたが、航空会社から補償金が得られた場合のみAirHelpのサービス料が発生します。
交渉の結果、補償金が受け取れなかった場合は、費用は発生しません。
また、サービス料の支払いは前払いではなく、最後に補償金を受け取る際に差し引きされる方式なので、安心して利用することができます。
AirHelp利用の流れと、実際に利用したときの申請から補償金受け取りまでの経緯
- フライトの補償確認トップページのフォームから、自分のフライトが補償の対象かどうか確認する
- 新規クレームの作成個人情報・補足情報の入力、書類(パスポートなど)のアップロード
- 進捗確認・追加書類のアップロードAirHelpから進捗連絡が来たら内容を確認する。必要に応じて求められた書類(Eチケットや委任状など)をアップロードする
- 補償金の受け取りAirHelpから航空会社への交渉が終わり、補償が認められると、AirHelp経由で補償金からサービス料を引いた額が払い出される











あとは、フォームに従って必要書類をアップロードすれば申請が完了します。
以下は、私が実際にAirHelpを利用したときの詳細です。
フライトの確認とクレーム申請
- 日付:2018年3月
- 人数:2人
- ルート:ポルト(ポルトガル)→リスボン→フランクフルト(ドイツ)
- 航空会社:TAPポルトガル航空
- 航空券代:約140ユーロ(2人分)
- 補償請求理由:航空便遅延(3~4時間)
- 遅延理由:なし(聞いていない)
- その他:経由地のリスボンへの到着が遅れ、フランクフルト行きの便が翌日に変更になった。航空会社にホテルと夕食・朝食、タクシーを用意してもらった(なぜか市税は自己負担)が、フランクフルト到着後の予定を変更しなければいけなくなった。
遅延はしたものの、ホテルやタクシーの手配はしてもらっていたのでこれ以上の補償はないだろうと思っていたのですが、偶然AirHelpのことを知って一応申請してみた、という感じです。
申請したのは2018年11月で、フライトの8か月後です。
申請時には、自分のパスポートをアップロードしました。
この時点で、2人合わせて「最大800ユーロの補償金を受け取ることができる可能性がある」という表示がされていました。
追加書類のアップロード
数日後、AirHelpから航空会社(TAPポルトガル航空)へ補償金請求をするために、不足している書類をアップロードするよう案内が来たので、それらをマイページからアップロードしました。
■申請段階で必要だった書類
- 全員分のパスポートコピー
- Eチケット
進捗確認
その後は、月に1~2回程度、進捗状況が書かれたメールが届きました。
「航空会社からの返事を待っています。安心してください、時間がかかるのはよくあることだし、私たちが勝つ確率は非常に高いです」というような内容です。
航空会社によるクレーム却下と法的処置
2019年5月(申請から約5か月後)にようやく航空会社からの返答があり、クレームは却下されたとのことでした。
引き続き法的処置の手続きに移るため、追加の必要書類のアップロードを求められました。
■ここで必要になった書類
- Power of Attorney(委任状)
- 可能であれば、実際に搭乗したフライトの搭乗証明書
Power of Attorney(委任状)は、AirHelpのマイページからフォームをダウンロードすることができます。
氏名や住所、ID番号(日本ならマイナンバー)、サインなどを記入してスキャン(または写真)したものをアップロードします。
搭乗証明書は航空会社に問い合わせて発行してもらうのですが、私は「遅延補償に必要なので発行してほしい」と問い合わせフォームに送ったところ、「カスタマーセンターに電話してください(ポルトガル語のみ)」と返事が来たので、諦めてAirHelpにそう伝えました。
こうして準備が整ったのが、2019年7月上旬。
補償金の振り込み
AirHelpから「補償が認められました」と連絡があったのが、2019年10月。
最初の申請から11か月かかりましたが、無事に補償されてよかったです。
今回の航空会社(TAPポルトガル航空)のレスポンスは非常に遅い部類だったようです。
AirHelpが受け取った補償金を払い出すため、マイページから口座情報を登録します。
すぐに確認のメールが届き、数日で振り込まれるとのことで待っていると、2営業日ほどで口座にお金が振り込まれていました。
口座は日本の銀行口座を登録することができます。
私はソニー銀行を利用し、ユーロのままで受け取りました。
ソニー銀行では外貨を持つことができ、そのまま海外のATMで引き出すこともできます。
海外旅行や出張をよくする人、留学や駐在で海外に長期滞在している人におすすめです。
Wise(TransferWise)などのサービスを利用しても良いと思います。
■今回の保証請求の概要
- 申請から補償金を受け取るまでにかかった期間:11か月
- AirHelpの利用サービス内容:補償請求、法的処置
- 受け取った額(2人分):400ユーロ(補償金800ユーローサービス料ー法的処置手数料)
AirHelp Plus(有料会員)
AirHelp Plusという有料会員になると、年間19.99ユーロで都度のサービス料が無料になります。
対象のフライトで航空遅延が1度も起きなければ無駄な出費となりますが、航空便遅延保険(海外旅行保険)だと思えば年間19.99ユーロはかなり安いです。
ヨーロッパ発着便を頻繁に利用する人にとっては良いサービスだと思います。
さいごに
実際にAirHelpを利用してみて、特に怪しいところはなく、対応は丁寧で分かりやすかったと思います。
私たちの場合は、140ユーロのフライトが遅延してホテルと食事を手配された上に、(11か月後に)さらに400ユーロも受け取れたので良かったです。
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