2014.2.6~3.6 ポルトガル、モロッコ、イスタンブールを旅行したときのメルズーガ・サハラ砂漠~マラケシュの記事です。
快晴とナツメヤシと妖精
2/19 メルズーガ
朝日を見るために5時くらいに起きた。予報によるととてもいい天気らしいので、今日こそ砂漠の絶景を期待している。
▼まだ夜みたいに月が出ていた
だんだん明るくなっていく空はもう「きれい」としか表現できなくて、呆然としているうちに夜が明けた。
朝食はパンとジャムとチーズとミントティー。
モロッコに慣れてきたためか、ミントティーを飲むと落ち着いた気分になるようになってきた。
それにしても今日は本当に天気がいい。
今日出発だったらもっとすごかっただろうなと思うけど、でも曇りと晴れの両方を見れたのは、それはそれで良かったなとも思う。
▼まだ薄っすらと見える月
▼オマールさん
▼またラクダに乗って宿に戻る
シャワーを浴びながら、たった一泊でこんなに簡単に砂漠に行くことができるんだなーとしみじみ思った。
それは初めて一人で海外に行ったときにも思ったことで、自分が憧れているものや望んでいるものは、案外簡単に実現することもあるということだ。
今回の砂漠も当然、相当な費用(と言っても数万円)がかかるものだと思っていた。
でも実際はそんなことなかったし、この先も似たようなことはあると思う。
なんていうか、砂漠に行くっていうのは「なにかすごいこと」みたいに思っていたけど、それがいとも簡単に、しかも予定外に叶ってしまったものだから、気抜けしてしまったような感じがした。
「なんだ、いけるんじゃん」という風に。

海外旅行に来ている時点で「なんだ、いけるんじゃん」ていう場面には何回も出くわしているんだけど、毎回思う。
こんな風に考えているおかげで、人よりもモノのありがたみとか感動とかは強く感じている方だと思う。
それはいいことだけど。
きっと人生なんてそんなもんで、どんどん色んなことを実現していくんだろうな、と期待と寂しさを感じながら、シャワーで砂とベトベトを落とした。
いつかウユニに行ってもマチュピチュに行っても子どもが産まれても、こういう気持ちは忘れないようにしたい。
次はマラケシュに向かう。
マラケシュへのバスは、明日の朝8時の国営CTMバスか、今日の夕方5時半にここから少し離れたリッサニから出る夜行の民営バスか、の2本しかなかった。
ここは宿代の浮く夜行バスで行きたいところだったが、モロッコの民営夜行バスはけっこう評判が悪い。
エアコンはないし、ドライバーはすぐにバスを止めて世間話を始めたりしてなかなか進まないとか、途中で人や荷物を乗せたり降ろしたりが多すぎるとか、あんまりいい話は聞いていない。
値段もCTMより少し安い程度だった。
それでもモロッコらしさを感じられるのはやっぱり民営なんじゃないか、ということでナオキくんと話した結果、民営で行くことにした。
16時40分を過ぎた頃、頼んでいたタクシーが宿に到着した。ホテルオアシスのスタッフにお礼を言ってタクシーに乗りこんだ。
リッサニにはバスの出発時間ぎりぎりに着いた。
バスの料金は190DH、別途荷物代が20DH(これは高い)。それでもCTMは230DHなので、比べると少し安い。
バスは最初はほとんど誰も乗っていなかったが、徐々に人が増えあっという間に満員状態になった。
そして、このバスは異常な寒さだった。
オートアトラスという山を超えるからということで車内はかなり冷え込んだ。
噂通りエアコンはなく、足元が特に寒かった。
中には毛布を持参している人もいて、最初それを見たときは「あの人たち毛布持ってきてるよ、寒いとはいえ大袈裟だな」とか言ってたけど、大袈裟ではなく確実に毛布は必要だった。
僕はくつ下を2枚重ねて履いていたけど足が凍りそうなくらい寒くて、感覚が無くなりかけた。
とりあえず、上半身は問題ない。とにかく足が寒すぎてまともに寝れたものじゃない。

バスは頻繁に止まった。その度に乗客は何かを食べに行ったり、用を足しに行ったりした。
代わりに物売りが入ってきて、誰が買うんだ、というような箱いっぱいのナツメヤシ(デーツ)を売りに来た(一つとか50gとかで買えるのかな)。しかもあまりやる気がない。
眼のイッてそうなおっさんが入ってきて、呪文を唱えて乗客からチップを取ろうとする(イスラム教の祈りかなにかなのかもしれない)。
バスの停車時間が長いと、もう一度呪文を唱えに戻ってくる。
ジュラバを着てフードも被っているので、まるでおっさん顔の妖精みたいだ。
ハリーポッターのスネイプがめっちゃ老けてさらに怪しい表情で、フードを被っている感じ。
僕はたまに外に出て用を足すだけで、あとは持参したパンをかじりながらナツメヤシと妖精をぼけっと見ていた。
すぐに止まったり物売りが乗ってくるのはアジアのときと同じなので大丈夫だったけど、足の寒さは想定の範囲を遥かに超えていた。
ペラペラのスニーカーは防寒にならないので脱ぎ、足元のかばんの中に足を突っ込んで、もうこのバスに身を任せることにした。
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