フランスで初めての出産。入院中と退院後のこと(設備・食事・指導など)

2020年4月にフランスの公立病院で出産しました。
出産後の入院生活と退院後の検診などについて、わたしが経験したことをまとめました。

▼出産時のことについては別記事に書いています。

フランスで初めての出産。前日~当日の陣痛開始から産まれるまでのこと
2020年4月にフランスで第一子を出産しました。この記事では、わたしの出産前日~当日の陣痛から出産までの流れ(破水・救急車・無痛分娩・吸引分娩など)を書いています。
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病院のルール・設備・食事などについて

わたしが入院した病院のルール・設備・食事などについて、わたしの経験をもとに説明します。

新型コロナウイルス対策

普段は相部屋か個室を選べるそうだけれど、新型コロナウイルスの影響で強制的に個室だった。
個室の場合は、追加で1日約50€かかる。
最後の検診では入院日数が1日だけになるかもしれないと言われていたが、実際はそうではなかった。

その他は、面会が禁止、病院内にある市役所の分室が閉鎖されているので市役所に出向いて出生届を提出しに行かなければならない、入院中もマスクをずっと着けていなければいけない、という影響があった。

 

入院日数

産後の入院は、母子ともに問題がなければ原則3泊で(生後3日目に)退院することができるが、何か問題があれば入院が延びることもある。

わたしの場合は入院中うまく授乳ができず、退院日になっても赤ちゃんの体重が減り続けていたので、もう1泊する必要があると言われた(いろいろあってもう1泊せずに済んだけれど)。

一般的に生まれてすぐの赤ちゃんはしばらく体重が減少し続け(生理的体重減少)、7~10日くらいで出生時の体重に戻ると言われていて、わたしが入院していた病院では退院日までに体重が上がり始める、もしくは体重減少がストップしていないと入院を延長することになっているようだった。

母子同室

フランスの病院は母子同室が一般的らしく、わたしが入院した病院もそうだった。
赤ちゃんとは産んだ瞬間からずっと一緒で、赤ちゃんだけがどこか見えないところに連れて行かれて検査されるということは一度もなかった。

少し困ったのはシャワーを浴びるときで、自分がシャワーを浴びているあいだ赤ちゃんをどうしていいのかわからず、入院初日はシャワーを浴びられなかった。

優しい看護師さんに相談したところ、「赤ちゃんはコット(キャスター付きの透明なベビーベッド)に入れて、ちゃちゃっと浴びちゃえばいいのよ!」と言われ、翌日からはコットごと洗面所に移動し、ドアを開けたままシャワーを浴びることにして無事解決。

病室の設備、備品など

  • 個室内にシャワー・トイレ・沐浴スペースなど必要な設備が完備されていたので、入院中部屋の外に出ることは一度もなかった。
  • 4月なのに暖房が付いていて、暖房を消しても窓を開けても暑くて常に汗だくだった。
    授乳の練習をすると汗が滴るほどなのに、面会禁止なので新しい服を持ってきてもらうことができずストレスだった。
  • 部屋に置いてあった備品は、おむつ・トイレットペーパー・産褥パッド・防水シート・滅菌不織布・食塩水・mustelaの試供品セット。
  • 入院持ち物セットに書かれていなかったけれど、持って行ってよかったものはコットン。
    フランスでは赤ちゃんのおしりを拭くのにコットンを使うと聞いていたけれど、吸水性のない不織布しかなかったし、言ってもなぜがもらえなかった(忘れられただけかも?)。
  • 緊急時はナースコールのボタンを押せば来てくれるが、基本的には備え付けの電話を使って呼ぶように言われた。
    (一度電話したら部屋番号を聞かれ、出産後はベッドで運ばれてこの部屋に来たし、入院中部屋を出る必要もなかったので自分の部屋番号など知らなくて焦った。そのときはなんとかなったが、退院するときに思い出して部屋番号を見てみたら、4桁×4桁で覚えられるはずがなかった。笑)

▼個室

▼沐浴スペースとおむつ替え台

▼シャワー・トイレ・洗面台

食事

朝ごはんのメニューは毎日同じで、大きなカフェオレボウルに飲み物とバゲットとビスコット。一応飲み物はココアかカフェオレかを選べた。

昼と夜は量がとても多く、味はお世辞にもおいしいとは言えなかった。
そのため、食べ物は絶対に残さない主義のわたしでも食べきれないことがあって悔しい思いをした。
持って帰れるチーズやりんご、ヨーグルトなどはバッグに入れて持ち帰った。

おもしろかったのは、両手でナイフとフォークを使わないと食べられない骨付きチキンや、まるごとキウイなどが出てきたこと。
これを病人に出すのか、と思わず笑ってしまった。

授乳をしながら食べたり、すぐに対応しなければいけないときがあるので、絶対に両手を使って食べなければいけないものがあるのは困ったし、おしぼりがなく手を洗いに立ち上がるのも一苦労なので、手が汚れる食事は大変だった。
ちなみに水は自分で水道水を汲む。

▼骨付きチキンとクスクス

▼味のない大量のパスタはどうやって食べるべきだったのか

▼ホタルイカが出てきたのには驚いた。それと茹でただけのじゃがいもが7つ……。

▼ポテトかぶり(左上と右下)

▼写真じゃ伝わらないかもしれないが、1品ずつの量がとにかく多い

指導・検査について

母乳指導

入院中はまだうまく授乳ができなかったが、初乳はたくさん出たので、搾乳したものをスポイトで赤ちゃんに与えていた。

スポイトで飲ませる方法は、まず大人の小指を赤ちゃんの口に入れ、吸い付いたら口の隙間からスポイトで注入するというやりかたを教えてもらった。
(手を洗わずに赤ちゃんの口に小指を突っ込んだヘビースモーカー看護師(手がタバコ臭い)のことは忘れない…涙)

それでも赤ちゃんの体重は下がり続け、おしっこもあまり出ていないため、ミルクがほしいと頼んでみたところ、乳首を咥えさせたならほとんど吸えていなくてもそれで良いとのことだった。
基本的にミルクは与えない方針の病院だったのかも。

母乳量を増やすため、夜寝るときも含めて空いている時間は常にカンガルーケアをするといいと言われた。
そのため、ベッドにいるときは常に搾乳か、授乳の練習か、カンガルーケアをしていたので、誰が入ってきてももう隠さなくなった。

赤ちゃんの検査

赤ちゃんの手の甲から採血し、新生児スクリーニング検査をした。
問題があった場合は退院後に家に手紙が届くが、何もなかったら届かないらしい。
その他、体重測定・ビリルビンの数値測定(黄疸)・耳の検査・足の関節のチェック・へその緒のチェックなど。

母親の検査

会陰の傷の状態と、子宮収縮(後陣痛)の有無のチェックをされた。
どちらも痛みがあれば、それぞれの鎮痛剤を服用。
ちなみに、日本のように会陰の傷を洗浄綿で消毒することはなかった。

その他指導

  • 授乳した時間と量、赤ちゃんのおしっことうんちの時間を用紙に記入し、正常かを確認してもらう。
  • おむつ替えは、おしっこはコットンとリニモンで拭き、うんちは少し濡らしたコットンにGel lavant(ジェルソープ)を少しつけて拭いた後、きれいに拭き上げる。
  • おむつはへそに被らないように上の方を大きく折って装着させる。
  • 沐浴をするのは体重が安定してから。
    わたしの場合、赤ちゃんが小さめに産まれたうえ体重が減り続けていたので、体重が増えたら沐浴の仕方を教えると言われていたが、結局体重が増えないまま退院したので、沐浴の仕方を教えてもらうのを忘れた(後日Sage femmeに聞いたところ、沐浴は2日に1回でいいそう)。
  • 鼻水や鼻くそを取るときは、食塩水で湿らせたコットンでこよりを作ってほじる。もしくは鼻の穴に直接食塩水を入れ、ぐちょぐちょにして流れ出させる。
  • 目元の汚れは食塩水を付けたコットンで拭き取る。
  • 赤ちゃんをおむつ替え台やベッドに置いたら、1秒でもその場を離れてはいけないし、離れるときは必ずコットに置く。これはどのスタッフも徹底していて、何かを教えてもらうときに赤ちゃんから離れるときは必ず「抑えていて」と言われた。というのも過去に3人の赤ちゃんが落ちたそう……。
  • 赤ちゃんは産まれた日から、足先まであるパジャマ・ニットのカーディガン・帽子・ジゴトゥーズ(日本で言うスリーパー)を着る。
    病室が暑いので苦しいだろうと思って色々脱がせていたのだが、念のため看護師さんに聞くと、授乳するとき以外はなるべくジゴトゥーズまで着せたほうがいいとのこと。
  • へその緒の処理方法は、濡らした滅菌不織布にGel lavantを少しつけて拭いたあと、Gel lavantが付いていない箇所で拭き取り、最後に乾いた不織布で水気を取る。これをへその緒が取れるまで1日2~3回続ける。
  • 毎日ビタミンDのシロップを4滴、口に直接垂らす(後日小児科医に聞いたところ、ミルクを1日100ml以上与えている場合は3滴)。
    ビタミンKは、産まれた日に1回と、その1ヶ月後に飲ませるため1回分を持ち帰り。ガラスのアンプルに入っていて、注射器で飲ませる。

▼ビタミンD

▼ビタミンK

退院時について

退院時の病院側の対応について説明します。

  • 退院日に、母子手帳(Carnet de Santé)、病院の出生届、1か月後に飲ませるビタミンK、処方箋(鎮痛剤やむくみ防止のスットキングなど)などをもらった。
  • 黄疸の数値が少し高いのと体重が低いのを退院2日後にまたチェックしてくれるとのことで、その予約を母子手帳に書いてくれた。
  • 出産前に預けていた血液検査やエコー結果など書類一式の返却を忘れられそうになった。笑
  • 病院から家に帰るのに、車がないからトラムで帰ってもいいかと一応聞くとダメと言われてしまい(おそらく新型コロナの影響を考えて)、歩いて帰れる距離ではないし、タクシーで帰るにもチャイルドシートがないのでどうしようもなくなってしまった。
    看護師さんたちも最初は一緒に考えてくれたが、最後は「もう知らん」的な感じで放置されたので、迎えに来た夫とこっそりトラムで帰った。

退院後のフォローについて

退院後の検診などのフォローについて、Sage femmeによる出産前クラスで教わっていたことは、

  • 退院1~2日後にSage femmeが自宅訪問
  • 出産後1か月間は週1で検診(1回はSage femmeが自宅訪問、3回はSage femmeのキャビネへ通う)
  • 出産2か月後からは小児科(Pediatrique)で月1で検診(いつまで月1でなのかは不明)

だったが、実際のところは少し違って

  • 退院翌日にSage femmeのキャビネへ(本来は自宅訪問しにきてくれるが新型コロナにより変更)
    ……体重測定、母乳指導、会陰の傷のチェックなど。
  • 退院翌々日に、産まれた病院で黄疸と体重チェック
    ……この検査は入院を1日延ばすべきだった私たちへの特別措置。
  • 出産3週間後に小児科へ
    ……出産後2週間目にSage femmeのキャビネへ行ったとき、小さめに産まれたので早めに小児科に見てもらうといいと勧められて。

日本では1ヶ月検診の際に、母親の血液・尿検査、子宮や悪露の検査などが行われるようだけれど、そういったものはなかった。
産後6週間後からはペリネケア(Reéducation de périnée/会陰のリハビリ)を受けられる。

入院の感想

出産前は、入院が3日なんて短すぎる!と思っていたけれど、実際は病院がそんなに居心地がいいわけではなかったので3日で十分だったというのは新しい発見だった。

分娩のときの助産師・看護師さんとは違って、入院中は英語が話せる人がほぼおらず、それはいいとしても別の方法でコミュニケーションを取ろうとしてくれなかったり、フランス語で早口で答えられたりすることもあり、出産前の”入院中のスタッフが怖かったら嫌だな”という不安は少し的中した(もちろんとても親切な人も数人いた)。

予想外だったのは、入院中が思ったよりも忙しかったこと。
体感で30分~1時間に1回は誰かしらが部屋に入ってきて何かしらの検査やなんやをするのでその対応をし、それ以外はおむつ替え・搾乳・授乳・カンガルーケア・食事・シャワーなどなど。
完全フリーな時間は1日に1時間もなかったかもしれない。
赤ちゃんが見たくて仕方がない夫からのテレビ電話も、「誰か来た!」とか「忙しいから!」とすぐに切ってしまっていた。笑

入院中は看護師さんから赤ちゃんのお世話についていろいろ教えてもらえると思っていたけれど、「おむつの替え方は他の人からもう教わった?教わってない?じゃあ教えるけど~」というような感じで、教えてもらえる時間がしっかりと設けられているわけではないようだった。
やはりフランス、聞かないと教えてもらえないことも多かった。

とにかく出産自体が初めてだったので、変に日本と比べることもなく、こんなものなのかーと思って過ごした。
入院中の一番のストレスといえば部屋が暑すぎたことくらいで、いろいろあったけれど最終的にはおもしろい経験ができたと思っている。

あ、でも、日本の祝い膳は羨ましかった!

さいごに

入院中には他にもいろいろエピソードはあったが、生後3日の新生児を連れて雨の中トラムで退院、翌日も雨の中通院、翌々日も雨の中通院と、退院後のほうが試練だった。
子供が産まれたら車があると便利だと痛感した。

※ここに書いたことはあくまでわたしの経験で、病院や教えてくれた人によって指導は異なるということにご注意ください。

 

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