人口6億人。多民族、他宗教入り乱れる東南アジアの地図と統計データ

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東南アジア地図

タイやベトナムに代表される東南アジア。経済発展が著しく、人口増加が続いています。

ヨーロッパやアメリカ大陸と比べて日本からの距離が近く航空券も安いため、多くの日本人が訪れています。

東南アジアはたくさんの民族や言語、宗教が入り混じった多彩な場所ですが、イメージが似通っていて違いが分からないという人も多いと思います。
たしかに似ている部分もあるのですが、それぞれの国に特徴があり、異なる文化があります。

今回はタイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、フィリピン、インドネシアの9か国について統計データをまとめ、所見を書きました。旅行の予定がある人はチェックしてから行くと面白いかもしれません。

東南アジアの地図

東南アジア各国の首都の場所を地図に表示したので場所を確認してみてください。

東南アジアは日本から見て南西の位置にあります。沖縄よりも南にあるので、たいていの場所は暑いです。

そのためバナナ、マンゴー、パパイヤ、ドラゴンフルーツ、パイナップルなどトロピカルフルーツの種類が豊富です。

大陸部はメコン川などの河川が流れ込む平野を中心に稲作が営まれていて、各国で米が食べられています。
対して島しょ部はプレートの境界に位置していて火山や地震の多い地域です。

統計データで見る東南アジア

東南アジア9か国の統計データです。
面積、人口、首都、言語、民族、宗教、通貨、実質経済成長率、1人あたりの購買力平価GDP 、在留邦人数、在日当該国人数、識字率、幸福度
の13項目についてまとめて表にしました。

統計データは世界各国で基準にバラつきがあったり、集計した年が違ったりと完全な比較データではないので、あくまで参考程度に考えてもらえればと思います。

タイベトナムカンボジアラオスマレーシアシンガポールミャンマーフィリピンインドネシア
面積51万3120km²33万1210km²18万1035km²23万6800km²32万9847km²719km²67.7万km²30万km²190km²
人口約6,862万人約9,704万人約1,645万人約723万人約3180万人約599万人約5562万人約1億600万人2億6779万人
首都バンコクハノイプノンペンビエンチャンクアラルンプールシンガポールネーピードーマニラジャカルタ
言語タイ語90.7%ベトナム語カンボジア語ラオス語マレー語(国語)
英語
中国語
タミール語
英語
中国語
マレー語
その他
ミャンマー語国語はフィリピノ語
公用語は
フィリピノ語及び英語
80前後の言語がある
インドネシア語
英語
民族タイ族97.5%
ビルマ族1.3%
その他
キン族(ベトナム族)85.7%
タイ―族1.9%
ターイ族1.8%
ムオン族1.5%
クメール族1.5%
モン族1.2%
ヌン族1.1%
その他少数民族
カンボジア人
(クメール人)97.6%
シャム人1.2%
中国人0.1%
ラオ族53.2%
カム族11%
モン族9.2%
その他
マレー系62%
中国系20.6%
インド系5.7%
その他
中国系74.3%
マレー系13.4%
インド系9%
その他3.2%
ビルマ族68%,
シャン族9%
カレン族7%
ラカイン族4%
中国系3%
インド系2%
モン族2%
その他5%
タガログ人28.1%
ビサヤ人11.4%
セブアーノ人9.9%
イロカノ人8.8%
ヒリガイノン・
イロンゴ族8.4%
ビコル族6.8%
ワライ族4% その他
ジャワ人40.1%
スンダ人15.5%
マレー人3.7%
バタック人3.6%
マドゥラ人3%
中国系1.2%
その他
宗教仏教94.6%
イスラム教4.3%
キリスト教1%
その他
仏教7.9%
カトリック6.6%
ホアハオ教1.7%
カオダイ教0.9%
その他
仏教97.9%
イスラム教1.1%
キリスト教0.5%
その他
仏教64.7%
キリスト教1.7%
その他
イスラム教61.3%
仏教19.8%
キリスト教9.2%
ヒンドゥー教6.3%
その他
仏教33.2%
キリスト教18.8%
イスラム14%
道教10%
ヒンドゥー教5%
その他
仏教87.9%
キリスト教6.2%
イスラム教4.3%
その他
カトリック80.6%
プロテスタント8.2%
イスラム教5.6%
その他
イスラム教87.2%
キリスト教9.9%
ヒンドゥー教1.7%
その他
通貨バーツドンリエルキープリンギットシンガポール・ドルチャットペソルピア
実質経済成長率3.9% (2017年)
3.3% (2016年)
3% (2015年)
6.8% (2017年)
6.2% (2016年)
6.7% (2015年)
6.9% (2017年)
7% (2016年)
7% (2015年)
6.9% (2017年)
7% (2016年)
7.3% (2015年)
5.9% (2017年)
4.2% (2016年)
5.1% (2015年)
3.6% (2017年)
2.4% (2016年)
2.2% (2015年)
6.8% (2017年)
5.9% (2016年)
7% (2015年)
6.7% (2017年)
6.9% (2016年)
6.1% (2015年)
5.1% (2017年)
5% (2016年)
4.9% (2015年)
1人あたりの購買力平価GDP
(2017年)
$17,900(2017年)$6,900(2017年)$4,000(2017年)$7,400(2017年)$29,100(2017年)$94,100$6,300$8,400$12,400
在留邦人数70,337人16,145人約3,500人863人24,411人36,423人2,821人16,570人51,811人
在日当該国人数47,647人262,405人
日本に留学しているベトナム人:
61,671人
(2018年3月現在中国に次ぎ世界2位)
9,598人2785人16,768人8,622人24,471人292,150人19,312人
識字率92.90%94.50%80.50%84.70%94.60%97.00%75.60%96.30%95.40%
幸福度(2016-2018世界順位)52位94位109位105位80位34位131位69位92位
参考

データを読み解く

いくつかの項目について旅のエピソードを交えながら所感を書きたいと思います。
あくまでも旅人の意見です。

1.まだまだ伸びる、人口

東南アジアの主要都市に行くと、まず人が多いなと感じます。
個人的には、東南アジアを旅行するときは都会の「雑多な賑わい」と田舎の「いい加減なのんびりさ」のギャップが楽しみのポイントの一つになっています。

アジアの活気やパワーは、ヨーロッパではなかなか味わえない醍醐味です。

ASEAN(東南アジア諸国連合。表中の9か国+ブルネイ)の人口は約6億人で、28か国が加盟しているEU(欧州連合)よりも多いです。

今後も経済発展が見込まれている国がほとんどで、人口はさらに増加すると言われています。

人口が多いのはインドネシア、フィリピン、ベトナム

東南アジアの中では、人口はインドネシアがぶっちぎりで1位です。世界で見ても4位にランクインしています。約2億6700万人というとだいたい日本の2倍くらいですね。
面積も9か国の中では最大です。

また、インドネシアの国民平均年齢は約30歳くらいとも言われています。若年層を中心に消費活動も活発で、すでに世界中から企業が進出しています。
現状では東南アジアで市場規模の一番大きな国ということになるでしょうか。

そういえばベトナムで知り合ったインドネシア人女性のInstagramはおしゃれなカフェやレストランの写真、旅行の写真が中心で日本のOLと概ね変わらないです。(笑)

次いで2番目に多いのがフィリピン(世界12位)。
首都マニラは確かにかなり人が多かった気がします。中心部は昼夜問わず賑わっていました。電車も混んでいたし車も多かったと思います。

路上生活者もかなり多く、貧富の差が大きいと感じました。

▼道端で遊ぶ子ども
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街が発展しているせいで、そしてその発展に比べてあまりにもストリートチルドレンが多すぎて、最初に見たときは道端で遊んでいる子どもたちが「都会の一角でただ楽しそうに走り回っている子どもたち」に見えてしまいました(日本のような)。

よく見ると、服がボロボロでストリートチルドレンだということに気が付きました。この子たちは人口にカウントされているのだろうか、と考えてしまいます。

3番目に人口が多いベトナムもやっぱり人が多く雑多な印象でした。
経済の中心であるホーチミンはとにかくバイクの数が半端じゃないです。どちらかと言うと、首都ハノイのほうが落ち着いている印象があります。

2.どこにでもいる中国人(漢民族)

東南アジアの多くの国では、ひとつの民族が半数以上を占めています。

統計には出ていませんが各国に多くの少数民族が住んでいて、伝統的な暮らしや食文化は現在まで受け継がれています。
国境をまたがる地域に住んでいる民族など、どの国にも属さずに生活している人たちもいます。ミャンマーのカレン族やロヒンギャのように迫害を受けるケースもあります。

一方で、表を見ると分かる通り中国系は各国に一定数いて、いずれの国でも富裕層を担っています。どの国にも中国系移民の博物館があり、活躍を知ることができます。

▼マニラの菲華歴史博物館
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関連【2016 タイ③ ウドンタニ】UDtownとタイ中国文化センター

マレーシアとシンガポール

マレーシアの母体となるマラヤ連合が1957年にイギリスから独立を果たし、1963年にシンガポールなどと新たな連邦を結成してマレーシアが成立しました。

マレーシアでは人口の半分をマレー系が占めていますが、経済を握っているのは中国系やインド系です。
実際にマレーシアでは中国系の人を多く見ました。

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クアラルンプールではチャイナタウンに泊まっていたので、当たり前といえば当たり前ですが。

▼クアラルンプールのチャイナタウン
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ペナン島のジョージタウンでは、2つ泊まった宿のうち片方のオーナーが中国系でした。
街なかで漢字を見る機会も多かった気がします。

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マレーシアでは格差是正のために1971年から雇用、教育などでマレー系を優遇するブミプトラ政策が実施されています。国教はイスラム教、国語はマレー語です。

多民族国家と言われていても、やっぱりマレー系を中心に据えたいのでしょう。

一方のシンガポールは中国系が多く、マレーシアとの融和は不可と判断され、1965年にマレーシア連邦から追放されるという形で都市国家として分離独立しました。

そのような経緯から、シンガポールは民族問題に対して慎重な姿勢を取っています。
シンガポール人口の約40%は外国籍者であり、労働力確保のため移民を推進しています。

関連 ペナン島 ジョージタウンのグルメ23連発

3.仏教だけじゃない、多様な宗教

「東南アジアは仏教」と思うかもしれませんが、仏教だけではありません。
各国の多数派宗教を見てみてみると、

  • 仏教:タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、シンガポール、ミャンマー
  • イスラム教:マレーシア、インドネシア
  • キリスト教:フィリピン

となっています。

大陸側は主に仏教

タイをはじめとした大陸側には仏教徒が多く、仏教寺院などの施設が観光スポットになっているパターンが多いです。

仏教施設では本当に色々なバリエーションのブッダを見ることができます。中にはどう見てもふざけているようにしか見えないものも…というと怒られてしまいそうですが。

見に行く側からすると、バスを乗り継いだり階段を上りまくったりして到着したときに面白いブッダが待ってるとやっぱり楽しいです。

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ミャンマーのチャイティーヨーにある、ゴールデンロックの名で知られるチャイティーヨーパゴダでは、大きな金色の岩が崖の近くの斜めになった岩の上に置いてあり、絶妙なバランスで昔からこの位置を保っているそうです。

伝説によると、このゴールデンロックはブッダの聖髪の上に置かれたんだとかなんだとか・・・

▼凄まじい雨でろくな写真が撮れなかった。
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インドネシアは世界一。タイ南部~マレーシア~インドネシアのイスラム教

イスラム教徒は中東のイメージが強いと思いますが、東南アジアにもたくさんいます。

インドネシアは世界で一番イスラム教徒が多い国です。マレーシアも国教はイスラム教、タイの南部にもイスラム教徒が多くいます。
東南アジアを旅していると、実際に行く前の想像以上にイスラム教に触れる機会があります。

以前、タイのバンコクからマレーシアのペナンまでマレー半島を南下したとき、南下するにつれて仏教〜イスラム教に徐々に雰囲気が変わっていった(ような気がした)のが印象に残っています。

▼タイ南部のクラビ
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▼クアラルンプールのマスジット・ジャメ(モスク)
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イスラム教国家を旅するときに注意すべきなのはお酒の値段。
イスラム教では基本的には飲酒が禁止されているため、ビールなどのお酒の値段は他の国に比べて割高になっていることがあります。

マレーシアに行ったときはなかなかちょうどいいビールを見つけられずもどかしい思いをしました。
と言っても缶一本1000円とかするわけではなくて、数百円出せば普通に買えるのですけれど。

場所によっては、外国人や異教徒でも飲酒は控えたほうがいいところもあるので気をつけてください!
旅行中の最優先はその場所の文化をリスペクトすることだと思っています。

フィリピンとキリスト教

フィリピンはASEANで唯一のキリスト教国家で、国民の9割近くがキリスト教徒です。

カトリックは約300年間続いたスペイン統治時代に広まりました。首都マニラでは世界遺産のサン・オウガスチン教会やマニラ大聖堂などが有名な観光スポットになっています。

サン・オウガスチン教会はフィリピンで最古の石造教会で、ヨーロッパ顔負けの重厚感でした。
マニラに行ったらほとんどの人が訪れるとは思いますが、おすすめの場所です。

▼サン・オウガスチン教会
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マニラ最大ともいわれる庶民的なマーケット、バクラランマーケットの近くには、より生活感のあるバクララン教会があります。

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マーケットの喧騒から抜けて広い教会の中に入ると、本当にたくさんの人が熱心にお祈りをしている光景があります。
邪魔にならないように後ろの方に座りましたが、かなりオープンな雰囲気でいろんな人が出入りをしていました。

後ろと側面のドアが開いていて、光が差し込み風が吹き抜けていくのが清々しい教会でした。

4.飛躍的な経済成長を続けるミャンマー。

ミャンマーの成長率はすごいと思います。長く続いた軍事政権が終わり2011年に新政府が発足すると、経済が開放され、より多くの資本が流入しました。
経済都市ヤンゴンの郊外には建設途中のビルやモールがたくさんありました。

▼ミャンマーの歴史やアウンサン父娘、仏教についてはこちらの記事に書いてあります。

【マガジンvol.1】 アウンサンと仏教と歴史。ミャンマーを紐解くABC
東南アジアの経済新興国ミャンマーはどんな国?アウンサン、仏教、歴史の3つのキーワードでミャンマーを紐解きます。

ミャンマーは親日家が多いということもあり、多くの日本企業が進出を続けています。
ローカルな八百屋やタクシードライバーなど、意外なところで日本語を話せる人に出会うことも多かったです。

素直で勤勉なミャンマーの経済力はすぐに爆発的に高まり、ミャンマーの都市は10年後にはバンコクやホーチミン、クアラルンプール、ジャカルタなどの大都会と同じようになる、と言われています。

旅人の間では、民政になりやっと(以前より)簡単に入れるようになったし、発展して変わってしまう前に今行きたい。見たい。という人が多く、世界中から観光客が集まっています。

ヤンゴン中心部の宿の相場は上がり続けていて、2014年と2017年に行ったときはどちらも朝食付きドミトリー(相部屋)の相場は1泊1000円~でした。
バンコクやホーチミンでは安ければ500円程度で泊まれることを考えると、少し割高です。

一方でローカルな物価はタイやベトナムより安く、安い屋台では1食30円〜100円で食べることができます。

5.在日当該国人数はフィリピンが1位、最近はベトナム人も多い

在日当該国人数(日本に住んでいる人の数)はダントツでフィリピンが多かったのですが、ここ数年ベトナム人も増えました。

個人的には、「フィリピン人女性(フィリピーナ)は金髪に近い茶髪でワンレンでちょっとぽっちゃり」というイメージがあります。
当たり前ですがフィリピンに行ったらイメージ通りの人もそうじゃない人もいました。

マニラの繁華街にあるキャバクラのような店には観光客や赴任中の商社マンと思しき日本人男性が多く出入りしているようです。

「気に入った女の子をデートに連れ出しているんだなー」という感じの日本人男性とフィリピーナのペアをレストランでよく見たし、そのまま仲良くなって結婚して日本に来るフィリピーナもいるみたいです。

日本には横浜や神戸のチャイナタウンを始めとした外国人街がいくつかありますが、フィリピン人街というのは聞いたことが無いです。
少なくとも、多分東京にはないと思います。

これだけ人数が多いのに集まっていないのは、ごく自然に分散して馴染んでいるということなのでしょうか。

最近はベトナム人もかなり多いと思います。
高円寺のコンビニの店員さんはほとんどベトナム人(日本語完璧ですごい!)だし、電車に乗っていてもよく見る気がします。

外務省のデータによれば、日本に留学に来ている留学生の数は中国に次いでベトナムが多いそうです(2018年のデータ)。
どおりで多いわけだ。

さいごに

もっと書きたいことはあるのですが、長くなったのでこれくらいにしておきます。
とにかく、様々な可能性を強く感じる東南アジアのこれからに注目です。

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