2016年10月に、世界一周で訪れたベトナムのサパ。
トレッキングや、少数民族に会えるということで人気の避暑地ですが、覚えておきたいことや色々と思うことがあったのでここに書いておきます。
サパの少数民族について
トッテ
サパのトレッキングツアーに参加すると、少数民族の女性たちがついてくる。
遠足についてくる付き添いの先生みたいな感じに自然にいるけど、彼女らは勝手について来てるだけ。
でも、歩きながら積極的に話しかけてくれたり、質問すると色々答えてくれたりもする。
▼半数以上は子連れ。子供はとてもおとなしい。
▼サパの美しい棚田
足元が滑りやすいところにくると、その度にわたしの横に来て、手を取って助けてくれた。
そんな「わたしの手助け担当」になってくれたのは、英語がしゃべれておしゃべりなクーちゃん(15歳)と、名前はわからないけどおとなしい同い年(25歳)の女性(子連れ)。
わたしが2人に手を取ってもらっているところが可笑しかったので、シュンに「(写真)撮って」というと、
クーちゃんが「トッテ?!あなたわたしたちの言葉勉強してるの!??」と大興奮。
どうやら「トッテ」という言葉が彼女たちの言葉で「手を取る、助ける」的な意味らしい。
その場はしばらく「トッテ」で盛り上がり、そんなこんなで午前中は和やかで楽しい時間を過ごした。
50円のミサンガ
トレッキングが昼休憩に入るタイミングになると、一気に売り込みをかけてきた。
助けたんだからなんか買って、と。
わたしの手を取って助けてくれた同い年の少数民族の女性はとても気が弱そうで、わたしが「買わないよ」と何回か言うと、悲しそうな顔をして後ろに下がっていった。
するとクーちゃんが、「あなたはこの人から買って。あなたを助けたんだからって。」と助け舟を出す。
まぁ確かに助けてもらったし、なんか買ってもいいんだけど、いかんせん欲しいものがない。
指輪が少し気になったけど、値段を聞いてみると高い。
結局一番安いミサンガ(約50円)を買うと、「買った」という事実が認められ、買って買ってと言われることはなくなった。
▼押し売りをテキトーにあしらったら余計売り子が増えてしまったキプロス人
昼食のテーブルについてから、全然関係ない少数民族の老婆がコソッとわたしの耳元で、この指輪はいくらでいいよ、とニヤリ。
その値段はさっき聞いていた値段の半額くらい。
きっとさっきのやりとりを聞いていたんだろう。
値段的には買ってもいいかなと思ったけど、もともと助けてくれたお礼として買おうと思ってたからこの人から買う筋合いはない。
欧米人バックパッカーの中には、けっこうお金をバンバン使う人もいて、こういうところでもササっとそこそこ高いものを買ったりする。(そもそも欧米ではバックパッカー=安く旅する、という認識はないんだと思う)
▼購入したおみやげをさっそく頭に巻くキプロス人
そういう人たち向けで成り立ってると思うんだけど、お金のないバックパッカーとしては本当に複雑。
助けてもらったからなにかお礼をしたい気持ちはあるのに、助けてあげたから買え!と言われたら買いたくなくなるし、そもそも買いたい商品も特にないし、結局何か買えばいいんでしょ的な感じで50円のミサンガ。
お互いにどうなんだろうこれ。
嫌な気分になったとかそういうことじゃなくて、何かもっとうまいこといかないものかね?
金曜のナイトマーケット
金曜の夜は、少数民族の人たちの商品を売るマーケットが広場のまわりで開かれる。
道に少数民族の女性たちがずら~っと並び、お客を待つ。
商品はどれも似たようなもので、それに何度も押し売りにあった商品だから、観光客はそれほど食いつかない。
たまに売れているところも見たけど、ほとんど売れてなさそう。
それに辺りが暗くて十分な光がないから、商品もよく見えない。
民族衣装をまとった姉妹がお母さんの横でちょこんと座っている。
その姿がとても可愛いので、観光客は写真を撮り、お礼にミサンガを女の子から買っていく。
▼ミサンガを取り出すお姉ちゃん。オネムな妹は頑張って目を開けているけどこのあと寝てしまう。
わたしたちも写真を撮らせてもらったので、お礼にミサンガを買った。
お母さんが笑いなさいよ、と女の子の肩をちょんと叩いても、女の子は少しも笑わなかった。
この子の他にも、広場の周りには5,6歳の子供たちが、1歳にも満たないくらいの弟妹を背負って、商品を手に観光客を追いかける。
中には薄汚れた服で、靴を履いていない子もいる。
わたしは、前日のトレッキングで少数民族の女性たちが休憩所でアイスを食べていたのを見ていたので、
必死に押し売りしてくるわりにこういうのにお金を使うんだなと思っていたから、
そこまで貧しくはないのかと思っていた。
でも、裸足で弟妹を背負いながら笑顔なく追いかけてくる子どもたちを見たら、やっぱり本当に貧しい人たちもいるんだなと思った。(同情を引く作戦なのかもしれないけれど。)
昔は農業だけで事足りたのかもしれないけど、
今はそれ以上のものを求め始めたのと、物価の上昇で貧困になってしまったのだろうか。
この子たちはこんな夜遅くに、これが終わったら山奥に帰るんだろうか。
この近くに家があるんだろうか。
その辺でテキトーに夜が明けるのを待つんだろうか。
こういう風に考えることはこの旅で何度もあるんだろうな。
普通にさえしていれば、決して野垂れ死ぬことはない日本で生まれ育ったわたしは、世界の日常茶飯事にいちいち考え込む。
少数民族は、特別?
考えてみれば、少数民族って数が少ないだけで、別に人として特別なわけではない。
だけど、一般的に少数民族の人たちは特別で、神聖なもので、美しいものだと思ってしまっている傾向にあると思う。
少数民族だからと言って、一概に普通の人たちより素晴らしいというわけではない。
もちろん少数側だから、多数側が大切にしなくてはならないものだけど、
もっとうまく特技を活かしたり、もっと売れる方法を考えたりする努力は自分たちでもすべきだと思う。
▼押し売りには惹かれないけど、おしゃれなカフェで何気なく置かれている民族衣装には惹かれる。
このまま同じ商品で押し売りを続けたって、お客は離れていく一方だし、買われるものも買われない。
写真たち
▼トレッキング一時休憩ポイントにて。子どもたちに「あんた売りにいってごらん!(若干冗談交じりっぽく)」と言われ駆り出されるも、よくわからずミサンガを持って立ち尽くす幼児。より小さい子のほうが売れるんだろう。
▼女の子たちは、遊びながらも縫い物中。ずっと見てると一人が近づいてきて、買わないかと言ってきた。遊び中でも売り込みは忘れない。
▼入場料が必要なチャトチャト村。入ってみると、道なりにお土産屋が並んでいた。ほとんどの住民が住宅兼お土産屋をやっているらしい。
▼農業をする少数民族の女性。農業と観光業を兼業している人が多いと聞いた。農業だけではやはり厳しいのか。
▼はちみつを売る少数民族の女性。
▼少数民族の女性たちが野菜を売るマーケット。
▼野菜を売るかたわら、縫い物をしている。
▼土産物を売る少数民族の女性たちは、昼食はおにぎりなどを持参しているのかと思いきや、普通のお店で食べていた。地元料金で食べられるのかもしれないが、最低30000ドンはするご飯屋さんで。ちなみに女性たち、すごい量を食べるし、味をすごく濃くして食べていた。体力のいる仕事なのだろう。
▼民族衣装を着飾り、土産物を売る子どもたち
▼芸達者な欧米人観光客が、風船で動物を作って子どもたちにプレゼントして子どもたちを喜ばせていた。わたしたちも折り紙を上げてみたが、風船には勝てなかった。
https://unusual-web.com/?p=2194
さいごに
ラオカイ省:2030年までのサパ観光区開発計画を発表/VIET JO
きっと今はこの観光化計画の途中なんだろう。
2030年、わたしたちが39歳になったときには、少数民族の方が少しでも楽ができるよう、うまくお金が回るよう進んでいるといいな。
Comments
はじめまして。
前にサパに行ったことがあったので、楽しく見させてもらいました。
たぶん、同じ道を通りました。笑。
少数民族が自立するのは難しいでしょうね。
「昼食はおにぎりなどを持参しているのかと思いきや」
おにぎりは日本独自の食文化だから、ベトナムにはないかもしれません。
こんな記事を書いたので、よかったらご覧ください。
では、気をつけて良い旅を。
旅㉑おにぎりをめぐる日本と中国・韓国の食文化のちがい
http://yukashikisekai.com/?p=22631
はじめまして。読んでいただけて嬉しく思います。
ゆかしき世界、たまに覗かせてもらっています!
おにぎりの記事読ませていただきました。
おにぎりは日本独自の素晴らしい文化ですよね。
わたしも大好きです。