ネパールでは、ネワール料理(カトマンズ周辺に住むネワール族の料理)を中心に、インド系、チベット系の料理も浸透している。
看板メニューで国民食とも言えるダルバート以外は軽食が多く、日本の居酒屋料理のようだ。
実際、ネパールにはビールをはじめとして、チャン(どぶろく)やロキシー(焼酎)などおいしい酒も揃っている。
ダルバートとカジャ
ネパールの人は、基本的には朝晩にダルバート、昼に「カジャ」と呼ばれる軽食(おやつ)を食べるらしい。
カジャはチョーメンやモモ、セクワ、ロティなど幅広いが、この記事では日本人的な分類で、食事系と軽食系に分類する。
ネパール料理についての考え
インドやネパールでは、「バフ(水牛)モモ」や「ベジチョーメン」、「チキントゥクパ」といったように、料理名にメインの具材名を含めることが多いように感じた。
タイでも、「カオマンガイ」の「カオ」が米で「ガイ」が鶏だとか、「トムヤムクン」の「クン」は海老だとか色々あるのだけれど、それとはなんとなく違う気がする。
予想ではあるが、ネパール(南アジア)では東南アジアや東アジアと比べて調理法のバリエーションがそれほど多くないことと、宗教や思想上肉を食べない人がいるということが影響しているのではないかと思う。
料理のバリエーション
ネパールには、調理法のバリエーションが多くない代わりに、具材を変えて作れるような汎用性の高い料理が多いのかもしれない。
例えば日本では「生姜焼き」といえば豚肉を使うし、「唐揚げ」といえば鶏肉を使うことが多い。
だけど、ネパールではバフのチョーメン、鶏肉のチョーメン、野菜だけのチョーメンなど色々ある(中には「ミックス(肉と野菜両方)」という、一見豪華な具材に見えるメニューもある)。
日本でも、味噌汁の具には色々なものがあるし、カレーにも「ビーフカレー」、「ポークカレー」、「チキンカレー」と種類がある。
ネパールでは多くの定番料理がそんな感じなのかもしれない。
ベジとノンベジ
ネパール人の約80%の人はヒンドゥー教徒であり、他に仏教徒が約10%、イスラム教徒が約4%を占める。
ヒンドゥー教徒は牛肉を食べないし、イスラム教徒は豚肉を食べない。
一方で、ネパールにはトレッキングとマリファナを楽しみに遊びに来るバックパッカーがたくさん滞在していて、彼らは肉を食べるので、外国人向けのレストランでは肉を出す。
ただ、同じバックパッカーでもインドから流れてきた”ヨギー”なベジタリアンも一定数いて、特にポカラではベジレストランをよく見かけた。
そのような背景から、肉が使われているものはそう明記してあるほうが分かりやすいし、使われている場合も何の肉なのかが重要なので、「チキン」や「バフ」と書くのだと思う。
食事系
1.ダルバート
ダルバートはネパール定番の定食のようなもので、「ダル」は豆のスープ(日本でいう味噌汁的役割)、「バート」はご飯を指す。
おかずは店によって様々だが、アチャール(大根や人参などの漬け物)、タルカリ(炒めものなどのおかず)、チキンなどの肉料理がセットになっていて、肉料理以外はおかわり自由の場合が多い。
「ベジ(野菜のみ)」、「ノンベジ(肉料理付き)」で値段が変わる。
ダルをご飯にかけて、おかずと一緒に手で食べるのだが、最近ではスプーンを使う人も多いらしい。
▼ベジダルバート
▼ベジダルバート
2.チョーメン(チョウメン)
焼きそばのようなもの。アジアでよく見る「フライドヌードル」のネパール版。
チョーメンにも「ベジ」や「チキン」などの種類がある。
「ベジ」と言っても、安食堂では人参やキャベツがすこし混ざっている程度だが。
店にもよるが、チョーメンはかなりしょっぱかったりMSGが過剰(味が濃すぎるカップ麺みたいな)だったりすることが多かった。
▼野菜がこれくらい入っていたら超嬉しい
▼酸っぱ辛いタレをつけて食べるパターン。これは豆入り
3.モモ
モモは蒸し餃子のような料理。揚げたものもある。
ピリ辛のタレにつけて食べることが多く、このタレのおいしさでモモのおいしさが決まると言っても過言ではない。
店によってタレの味付けは様々。
▼辛くないタレ。クリーミーでおいしかった
▼スープモモ
4.トゥクパ
トゥクパはネパール風かけうどん。
チベット系の料理のようだが、東南アジアや中国で定番の米粉麺ではなく、おそらく小麦粉の麺を使っていると思う。
基本的には優しい味付けだが、チョーメンやモモと同じように酸っぱ辛いタレを入れて食べることも多い。
どの店でも同じに見えるが、つゆの味がまったく違うのでおもしろい。
▼ベジトゥクパ
▼ベジトゥクパ
▼ついには自分で作った
5.タントゥク
タントゥクはトゥクパに似ているが、きしめんのような太い麺が使われている。
6.カレー
▼バフカレー。インド・ネパールっぽい油の旨味よりも出汁の旨味が効いていて、日本のカレーのようだった。
▼インド系の店で食べたロティと豆カレー(ダルよりも豆の原型がしっかり残っていた)
軽食/つまみ系
7.チョイラ(チョエラ)
茹でてから焼いたバフを、トマトやスパイスを炒めて作ったソースと混ぜ合わせた料理。
チウラ(干し米)や炒り豆と一緒につまみセットのような感じで皿に盛られていた。
https://unusual-web.com/?p=20065
8.スクティ
干し肉をトマトや玉ねぎ、スパイスと炒め合わせた料理。バフ肉が使われることが多いらしい。
歯ごたえがあって、噛むたびに旨味がじわじわ広がっておいしい。
ロキシーやチャン(後述)のお供に。
9.ブトゥワ
マトンの内蔵の炒めもの。
写真の店では「バフ」と言っていた気がするけれど、ブトゥワと言ったら普通はマトンらしい。
内臓らしく少し苦さとエグさがあり、それがまた酒に合う絶妙な料理だった。
10.チャタモリ
チャタモリはネパールのピザと言われているようだけれど、私たちが食べたものはピザというよりはオムレツだった。
お決まりの酸っぱ辛いタレ付き。
11.チュカウニ
チュカウニ(シュカウニ)は「じゃがいもと玉ねぎのスパイシーヨーグルトサラダ」という感じ。
チャパティにつけたり、単品で食べたりするらしい。
唐辛子が使われているのでピリ辛で、ヨーグルトの酸味もあり、玉ねぎやパクチーの爽やかさもあり、おいしい。
12.煮豆/炒り豆
屋台や飲み屋、ティースタンドなどでは、様々な種類の煮豆や炒り豆を出している。
▼バトマス(干し枝豆)の煮込み
13.カジャ(軽食)セット
飲み屋のような店に行くと、おやつ(軽食/カジャ)のセットを出していることがある。
煎り豆、アチャール、チウラ、タルカリなどがワンプレートに盛られている。
▼魚のフライ
お酒・コーヒー
14.ビール
ネパールにはEverest(エベレスト)やNepal Ice(ネパール・アイス)、Tiger(タイガー)、Mustang(ムスタン)などいろいろな種類のビールがある。
ただ、値段はネパールの物価からすると高めで、日本と同じかそれ以上。
だいたい1本150円~300円くらい。
15.トゥンバ
トゥンバは発酵させたキビにお湯を注いで飲むお酒で、チベット系のものらしい。
木製や金属製の大きなコップで運ばれてきて、お湯を注ぎ足しながらストローで飲む。
ホットビアーとも呼ばれているようだが、少し酸味と甘みと発酵臭があって、日本酒のぬる燗のような味わいにも思えた。
何度もお湯をおかわりできるので、コスパが良い。
16.チャン
チャンは米などの穀物から作られるどぶろく。家庭で作られているらしい。
1Lで数十ルピー~とこちらもコスパ抜群で、飲みやすくておいしい。
少し薄いマッコリのような感じ。
17.ロキシー(ラクシー)
ロキシーはネパールの蒸留酒(焼酎)で、米やヒエ、キビなど原材料の種類はいくつかあるらしい。
飲み屋などで、コップ1杯数十ルピーで飲むことができる。
だいたいは自家製なので、店によって濃さや味が全く違っておもしろい。
ネパールのカジャをつまみに、ロキシーでしっぽりほろ酔いに。
18.ネパールコーヒー
ネパールの山間部ではコーヒーを栽培している。
今はまだそれほど品質が高くはなく人気ではないが、そのうちコーヒーが輸出産業になるかもしれない。
19.チヤ(チャイ)
ミルクティー。インドのチャイと同じようなもの。
甘いお菓子やパンなどの軽食と一緒に飲むことが多いようだ。
▼チヤにつけて食べるパイ(サモサと呼ぶらしい。)
20.ラッシー
インドよりは少ないが、同じようなラッシーの屋台が街なかにいくつかある。
観光客向けにダルバートを出す店では、セットの飲み物でラッシーを選ぶこともできた。
▼ヨーグルトも
21.おやつ
▼湿り系のお菓子、ココナッツがけ。インドやイスラム教圏でよく見たものと似ている
▼サモサ、ドーナツ、チヤ
▼セルロティ(米粉の揚げドーナツ)。外側はおこげのようにカリカリで、素朴な甘さ。
▼鉄板で焼いていたパンケーキのようなもの
▼屋台に多いフライドポテト。外国人バックパッカーがよく食べていた
▼インドやバングラデシュでもよく見た、酸っぱ辛いソースをかけて食べる駄菓子のようなもの
▼小麦粉を水で練って作った生地を揚げる、ジャレビというお菓子。インドやネパールでよく見る。
パン
カトマンズやポカラにはそこかしこにパン屋があった。
おそらく、欧米人バックパッカーがたくさん買うのだと思う。
さいごに
「ネパール料理」というと、なんとなくパッとしないというか、印象が薄い、インドと同じなんじゃないか、みたいなことを考えがちだけれど、「けっこう日本に似ている部分もあるのかな」というのが僕の持った印象だ。
飲酒文化があまりないインドと比べると、ネパールの料理はどれも酒に合う。
ネパールでも飲酒はそれほど伝統的な文化ではないらしいけれど。
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