僕は東京生まれ、東京育ち、田舎より都会が好きだ。だけどなぜだか、東南アジアきっての田舎の国、ラオスにたまらなく魅了されてしまった。
理由はなんだろう。
そうだ、僕はおいしいラオス料理とビール、コーヒーが大好きなんだ。
カオニャオを蒸した匂い、カオチーの絶妙なバランス感覚、タムマークフンの汗が吹き出す程の辛さ。氷いっぱいのグラスで飲むビアラオ。
ベトナム料理やタイ料理に比べて注目度の低いラオス料理。僕の知っているものだけでもシェアしたい。出来る限り、屋台での値段も書いておこう。
ラオス料理の特徴
ラオスの料理は、隣国タイの東北部イサーン地方の料理と似ている。
言葉も似ているから、イサーン料理と同じ料理名も多いし、料理名は違うが同じ料理だということもある。
また、ベトナムや中国の影響を受けた料理も多い。
ラオスの主食はもち米(カオニャオ)。
麺料理には米粉で作った麺を使うことが多い。
味付けに使う調味料・香辛料は唐辛子、魚醤(ナムパー/ナンプラー)、醤油、パクチー、ミントなど。
本場ラオスの味付けはかなり辛い。時々とんでもなく辛い料理もあるが、醤油やしょうがを使った和食に似た味付けの料理もある。
派手さはないけれど素朴でおいしいラオス料理は、多くの日本人の口に合うのではないだろうか。
ご飯、パン
1.カオニャオ
カオニャオはもち米のことで、ラオスの主食。日本でいう白ご飯。
これがなければラオス料理は語れない!(と僕は思っている)
「カオ」は米という意味。
ラオスではカオニャオを手でつまんで食べるのだが、それほどベタつきはなく食べやすい。
食堂や屋台では、カオニャオは竹で作られた小さなおひつに入っている。
持ち帰り用に買うと、ビニール袋に入れて渡してくれる。
▼また赤米を使ったものもあり、これも香りがよくおいしい
2.カオチャオ
カオチャオはうるち米のご飯。
日本で一般的なジャポニカ種ではなく、細長いインディカ種(日本でタイ米と呼ばれているものに近い)を使う。
東南アジアによくあるフライドライス(ラオスのカオクア、タイのカオパッド)に使われるのはこのカオチャオ。
3.カオ・ピヤック・カオ
鶏の出汁がきいたラオスのおかゆ。
朝食の時間に屋台などで出している。むしろ朝食の時間にしか出していない屋台も多い。
「カオ」は米、「ピヤック」は濡れるという意味。
お腹に優しいので、飲みすぎた翌朝にさらーっと食べるのも良いし、追加でおこし(のようなもの)を入れるなどトッピングをして、朝からガッツリ食べるのも良い。
4.カオ・クア
いわゆるフライドライス、チャーハンのラオス版。
他の東南アジア諸国でもよく見かける料理。
5.カオチー(カオチーパーテ)
「カオチー」はパンという意味だが、主にバゲット(フランスパン)及びバゲットで作るサンドイッチのことを指す。
ラオスはベトナムと同じくフランスの植民地(仏領インドシナ)となっていたため、バゲットが広く浸透している。
ラオスのバゲットは硬すぎず、柔らかすぎず、だけど中は適度にもっちりしていて軽い食感で香りも良い。米粉を混ぜているのかもしれない。
このカオチーのサンドイッチが、ベトナムのバインミー(ベトナム風サンドイッチ)同様かなりおいしい。
そして何と言っても最大の特徴は、青パパイヤのささがきが入っていること。
これは、タムマークフン(ソムタム)で使われる青パパイヤと同じようなもの。
バゲットに青パパイヤを合わせるという、ラオス料理の最高傑作だ。
食文化ではヨーロッパは永遠にアジアに勝てないんじゃないだろうか、とアジア人の僕はいつもそう思ってしまう。
いや、アジア人の口にはアジアの料理が合うだけか?
「カオチー・パーテ(Khao jee pâté)」はカオチーにパテ(レバーペースト)を挟んだもの。
他にもチキン、ハム、ソーセージ、ひき肉、肉団子、卵、ツナ、チーズ、きゅうりなど具材のバリエーションはかなり多い。
基本の具材として青パパイヤの他に肉でんぶやパクチーが入っていたり、チリソースをかけたりするのがラオスならでは。
▼地域によっては炭火でサッとパンを温めてくれる。
▼これが肉でんぶ
もし思いっきり東南アジア風の味が苦手なら、ヨーロッパ風のチーズ、トマト、チキンなどのサンドイッチでも良いから食べてほしい。まずパンがおいしいから。
6.カオチー
五平餅。これもパンと同じくカオチーというらしい。
麺料理
7.カオソーイ
ルアンパバーンなどラオス北部の名物麺料理で、無理やり分かりやすく名付けるのなら「ピリ辛ミートソーススープ米粉うどん」という感じ。
タイ、チェンマイの「カオソーイ」と名前は同じだが、別の料理。
元を辿れば中国南部の雲南から来たであろうから、おそらく同系統のはずだが。
米から作った平たい麺(中国雲南で言う米干)が使われていて、ピリ辛の肉味噌が上にのっている。
肉味噌はきっと店ごとにレシピがあるのだと思うが、豚の挽肉とにんにく、トマト、唐辛子、玉ねぎ(エシャロット?)、そして「トゥアナオ」という大豆から作る発酵食品(納豆のようなものだけれどもうすこし食べやすい)などが使われている。
店によってはトゥアナオの風味が強く、知らずに食べていて「え、納豆?」と思うことが何度かあった。
いつか、おいしいカオソーイのレシピをマスターしたいところだ。
▼チキンなど追加の肉を選べる場合も
▼ライムを絞るのもアリ
付け合わせの生もやしやクレソン、香草類はスープに入れたり、味噌につけて食べる。
▼好きな調味料を足すこともできる。もちろん青唐辛子をちぎって入れても、そのままかじっても良い
▼唐辛子の酢漬けでより刺激的な味に
▼生野菜は味噌につけて
▼汁なしカオソーイ
8.フー
ベトナムの名物であるフォーに近い、米粉で作った麺を使った料理。
半生の牛肉が入っていることが多い。
9.カオ・ピヤック・セン
ラオス風うどん。
タイでクイジャップユアン(ベトナミーズヌードル)と呼ばれている麺料理に近い。
米粉にタピオカ粉を混ぜて作るモチモチの麺を使った、朝食向けの料理。
とろみのあるスープもうまい。
10.ミー・ナム(中華系ヌードル)
小麦粉から作る黄色い中華麺で、タイのバミーのようなもの。
中華系の食堂や屋台で出している。
豚肉や鶏肉をトッピングしているものが多い。
ちなみに、スープなしのものは「ミー・ヘン」という。
11.インスタントラーメン
ラオスの屋台では、インスタントラーメンに青菜やチキンを足して調理してくれるところがある。
おかず、肉、野菜、魚料理
12.タム・マークフン(ソムタム)
ラオスやタイのイサーンを代表する料理。
タイではソムタムと呼ばれていて、ラオスでもほとんどの場合ソムタムと言えば通じる。
定番かつ名物だけれどやはりおすすめのラオス料理なので、ぜひ何度か食べてみてほしい。
青パパイヤを細く切って、レモンや唐辛子、トマト、発酵させた魚のエキス(パーデーク)、沢蟹の塩漬けなどと一緒にすり鉢で叩いて作る青パパイヤサラダ。
味付けや具材は地域や店によって若干異なるが、カニが入っている場合は衛生面で注意が必要。
ラオスやイサーンのタムマークフン(ソムタム)は、バンコクなどで一般的なソムタム・タイと比べてかなりクセがあり、辛さも強い。
ラオスのタムマークフンは、タイでいうソムタム・プー・パラーに近い。
青パパイヤのコリッとした歯ごたえとパーデークの奥深い味わいと匂い、唐辛子の強烈な辛さがクセになる。
タムマークフンはかなり辛いが、屋台なら唐辛子の本数は聞いてもらえるし、仕上げの前に味見をさせてくれることも多いので、色々調節してもらって自分好みの味を探すのも楽しい。
カオニャオと一緒に食べたり、麺を入れて混ぜて食べることもある。
13.ピン・カイ
ピンカイは焼鳥のことで、タイのイサーンではガイヤーンという。
焼鳥と言っても日本の焼鳥のようなサイズだけでなく、大きな鶏肉を串に刺して豪快に焼いたものもある。
▼レバー
そこかしこの屋台で売っているし、長距離バスの休憩時にはバス車内に売り子が入って来たり、窓越しに売ってくれることがある。
・大きいサイズ:10000~15000キープ
14.ラープ
ラープは香草や、ナムパー(ナンプラー)などの調味料、香辛料と細かく刻んだ具材を混ぜて炒め合わせた料理で、イサーンにも同じ料理がある(写真はタイ、ウドンタニのもの)。
具材には鶏肉、豚肉、牛肉、レバー、魚などが使われ、それぞれ「ラープ・カイ(鶏肉のラープ)」、「ラープ・ムー(豚肉のラープ)」、「ラープ・グア(牛肉のラープ)」、「ラープ・パー(魚のラープ)」という。
おすすめはラープ・カイとラープ・ムー。
カオニャオと一緒に手でつまんで食べるのがとにかく最高。
でも、ビールもすすむ。ラオス料理って本当にビールがすすむ。
15.サイウア
ラオス風ソーセージ。
イサーンのサイクローン・イサーンと似ている。
色々な形、種類があり、コメが入っていたり、酸味の強いものもある。
16.ソム・ムー
ラオス風生ハム(発酵生ソーセージ)。
はじめてソム・ムーを見たときはかなり興奮した。
「ソム」は酸っぱい、「ムー」は豚という意味。つまり酸っぱい豚肉ということだけれど、そこまで酸味が強いわけではない。
豚肉ににんにくや唐辛子、豚皮を挟んで、バナナの葉で包んで発酵させて作る。
売店や屋台ではバナナの葉に包まれた状態で売っている。
ビアラオのツマミにぴったりで本当においしい。
17.揚げ魚、焼き魚
ラオスは内陸国だが、タイとの国境沿いにメコン川が流れているため、魚もとれる。
焼き魚はピン・パーと呼ばれる。
▼揚げ魚2000キープ(隣はラープ)
18.肉、魚料理
肉や魚を焼いたり、炒めたり、煮たり。
日本と同じようにバリエーションは豊富。
▼タレをつけて焼いた肉と魚
▼ホルモン煮込み
▼レバーとしょうがの炒め物
▼フライドチキンとスイートチリソース
▼豚の角煮と煮玉子
▼しょうがが効いたそぼろ(ほぼ和食)と、小魚のトマト煮
▼豚肉と玉ねぎのピリ辛炒め
19.その他のおかず
他にもラオスにはたくさんの種類のおかずがあり、街なかでおかずを並べている店では指差しで注文することができる。
好みのおかず2、3種類とカオニャオまたはカオチャオを皿に盛ってもらえば、ワンプレート(ぶっかけ飯)でその場で食べることができるし、それぞれ袋に詰めて持ち帰りにすることもできる。
唐辛子を使った辛いものが多いが、醤油味も多く、日本人にとって馴染みやすい味だと思う。
▼これはルアンパバーン名物(?)の乗せ放題屋台(屋外、10000キープの方)。ここで食べてお腹を壊す人が多いという噂も。
▼本当は皿に盛った後並んで炒めなおしてもらうのだが、時間がかかるのと全てをぐちゃぐちゃに混ぜられてしまうので、炒めなおしを頼まないほうがおいしく食べられる。
ラオスには中国系の人も多く居住しているため、中華風のメニューを出す店もよく見かける。
▼蒸した鶏肉に甘辛いタレがかかっている。八角が香る
▼揚げ餃子。中には野菜あんが入っていた
▼しゅうまい
▼甘辛い味付け
その他
20.串焼き
野菜や肉、きのこ、練り物系、たまご、豆腐など種類豊富で値段も手頃。
小腹が空いたとき、ビアラオのアテなどに。
チリパウダーをかけて食べる。
▼串から外して皿に盛ってもらった場合
21.シンダー
焼肉としゃぶしゃぶが一緒になったような料理。値段は割と高めで、食べ放題の店もある。
中央の鉄板で肉を焼き、周囲の部分にスープを注いで野菜を煮て、タレにつけて食べる。
22.茹で野菜、麺など
野菜、練り物などの他、たまご豆腐や麺類もある。
選んだ具を出汁で茹で、皿に盛ってもらう。好みで辛味噌を入れて食べる。
23.ヨー・カーオ、ヨー・チューン
ベトナム風春巻き。生春巻きと揚げ春巻きがある。
スイートチリソースにつけて食べる。
デザート、お菓子
24.クワイ・チー
焼きバナナ。
日本でよく見るバナナとは違い、小さいバナナを使っている。
素朴で甘くておいしいおやつ。
25.カオ・ラーム
竹筒で蒸したもち米。ココナッツミルクの味がついている。
甘いので食事というよりはおやつという感じ。
26.カオ・トム
もち米をバナナの葉に包んだラオス風ちまき。
おやつ感覚だが、けっこうお腹にたまる。
27.お菓子、菓子パン
揚げものやパンは中身の入っていないもの、芋のあんが入っているもの、ココナッツパウダーがまぶしてあるものなど種類豊富。
他に揚げ芋、揚げバナナなどもある。
▼練乳パン
▼カオパート・マントン。もちもち食感
28.ナムワーン
ラオス版みつ豆のようなもの。
ココナッツミルクやシロップをかけて食べる。
具の種類は豊富で、子どもたちに人気のおやつ。
▼小豆は「トゥアダム」、ヨーグルトは「ノムソム」
飲み物
29.フルーツ、フルーツジュース、シェイク
ラオスは南国。
他の東南アジア諸国と同じく、バナナやパパイヤをはじめとしたフルーツやおいしいフルーツジュース・シェイクが安い。
30.ビアラオ
人が集まるところには必ずビアラオがある。
ラオス人は本当にビールが大好きで、ラオス料理はどれもビールに合うものばかり。
ビアラオにはノーマル、ブラック、ゴールドの3種類がある。
ライトもあるみたいだけれど、見たことがない。
グラスにたっぷり氷を入れて飲むのがラオス流。
乾杯は、「タムチョーク」。
31.他のビール
ビアラオがかなり有名だが、ラオスにはビアラオの他にもビールがある。
NAMKHONG(ナムコーン)は比較的どこにでも売っている。
ビアサバンはサワンナケートでしか見つけることができなかった。
32.ラオラオ
米から作ったラオス焼酎。
値段も安く、商店などで購入できる。
ルアンパバーン近くのバーンサンハイで作られていて、見学も可能。
ルアンパバーンのナイトマーケットでも売っているので、そこで試飲をすることもできる。
ストレートで飲んでもおいしいが、ロックにしてライムを絞ると飲みやすい。
33.LAODI(ラオディ)
LAODI(ラオディ)はラオス産のラム酒のブランド。
日本の技術を用いて、ラオスのサトウキビから作られている。
LAODIのラインナップ
- White RUM:無農薬のサトウキビで作ったノーマルなラム酒。
- Brown RUM:ホワイトラムをオークで熟成させたもの。ウイスキーのような芳醇でやわらかな香りがすごく贅沢。本当においしかった。
- リキュール:ホワイトラムをベースにした、コーヒー、シュガーケーン、パッションフルーツ、プラム、ココナッツのリキュールがある。
値段はラオスの物価から考えれば高いけれど、きちんとラオスで作られたものだしパッケージはオシャレだし、お土産におすすめ。
LAODIのバーはヴィエンチャンにあり、乾季にはルアンパバーンのナイトマーケットにも出店している。
参考
LAODIホームページ
LAODIヴィエンチャンのFacebookページ
34.ラオコーヒー
世界的にはあまり有名ではないが、ラオスではコーヒーを生産している。
ロブスタ種は隣国の有名な”ベトナムコーヒー”として流通したりもしているようだが、近年ではアラビカ種の生産も増えている。
▼ベトナムスタイルの抽出法
ラオスのコーヒーの一大生産地は、南部のバラベン高原にあるパクソン周辺など。
パクソンには周辺の村で生産した豆を扱うカフェがあり、こだわりのコーヒーを出している。
街なかの露店では手作りコーヒーアイスも売られていた。
ウォンコーヒーというところでは、事前に連絡するとMr.コーヒーというオランダ人がコーヒー焙煎ワークショップをしてくれる。
▷ワークショップ申し込み
コーヒー豆はルアンパバーンのナイトマーケットでも買うことができ、値段も手頃。
またラオス各都市の街なかでは、アイスコーヒーにコンデンスミルクを混ぜてたっぷり氷を入れたドリンクが売られている。
注文を受けてから作り、袋やプラスチックカップに入れてくれる。
さいごに
ああ、ラオス料理ってなんて素晴らしいんだろう。
のどかな土地で緩やかな生活を楽しむラオス人。
そこには、ラオスにしかない暖かくも清々しいリズムがある。
カオチーとタムマークフンとビアラオのためだけにラオス旅行に行く価値がある。
僕は本気でそう思っている。
Comments
>>カオチーとタムマークフンとビアラオのためだけにラオス旅行に行く価値がある。
同感です。
わたしはタムマークフンのかわりにコーヒーを入れます。
2000年ごろ、初めて行ったとき、これは確実にタイより上だ、と思ったのが、この三っつです。動き回らずにひとっ処にぐたっといるのが好きです。
どこへいっても田舎なのが(首都も観光地も)いいですね。北もいいけど、南もね。
チャンパーサック、シーパンドンも観光地だけど落ち着きます。
それと、南(パクセーあたり)のほうが美少女がおおい感じ。
また、行きたいなー。
ちだゆうさん
コメントありがとうございます。コーヒーも良いですよね!僕もラオスのコーヒーは好きでした。
シーパンドンはまだ行ったことがないのですが、評判は聞いているのでぜひ行ってみたい場所の一つです。