メイです。
明日、20日間いたトドラ渓谷(ティネリール)を出て、ワルザザードへ向かいます。
ここの娘さんのあやちゃん(8歳)と別れるのがさびしい~
感謝とともに移動
2017/5/13 マンディバハーウッディーン~ラワールピンディ~ギルギット
ラホールにいたときは、旅が楽しくなかった。
この街で自分がどう振る舞えばいいのかがわからなくて、居心地が悪かったから。
イスラム教のマナーでは、女性は肌を隠し、髪を隠し、笑顔を見せず、目もあまり合わせない。
だから、それを尊重するあまり、わたしも誰かに話しかけられたりしてもあまり微笑まない方がいんじゃないかとか、この人と握手をしていいのかとかをいちいち考えて、人と接するのがめんどくさいと思えてきた。
そのマイナスな気持ちが、「パキスタン人って優しいって聞いていたけれど、別に優しくない。めっちゃ見てくるし。」と、パキスタン人に向くようになったりして、負のスパイラル。
でもよく考えてみれば、イスラム教でもない旅行者であるわたしがイスラム教のマナーを忠実に守って、旅が楽しいと思えるはずがない。
やっぱり旅はオープンマインドじゃないと。
そう2人で話し合ったその日は、色んな人がウェルカムしてくれて、そして今家にお邪魔させてもらっているイジャーズさんとの出会いもあった。
自分の過ごし方で、周りの反応がおもしろいように変わった。
旅は自分を映す鏡だなと改めて思った。
マンプク
イジャーズさんの豪邸で迎えた朝。
朝食も豪華だった。
▼ポテト入りパラタ
▼プーリー
▼ハロワ(プーリーと食べる甘いお菓子)
▼オムレツ
▼唐揚げみたいなもの
▼豆のカレー
他にもアチャール(辛い漬物)、ヨーグルト、チャーエ、食パンやジャムの用意もあった。
イジャーズさん「奥さんが一生懸命作ったからたくさん食べてください。」
奥さん朝からたくさんありがとう。
チャーエは砂糖なしで、必要な分だけ自分で足す方式だった。
イジャーズさんは砂糖なしで飲んでいたので真似してやってみると、味も香りもない。
パキスタンのチャーエは、砂糖を入れなければ味も香りもほとんどないことをここで知った。
イジャーズさんと兄のイクバルさんは2人とも、食べるのがとにかく速い。
私たちの2倍くらいだ。
イジャーズさんによると、「パキスタン人は食べるのがとても速い、だからみんなお腹が出ている」らしい。
結婚式の食事タイムは10分で終わるんだって。
なぜかはわからないけれど、みんな小さい頃から食べるのが速いらしい。
全部おいしいし、いっぱい食べたら奥さんが喜ぶと思って一生懸命食べたら、満腹でツラーーー……。
プレゼント
食後は、またわたしだけ別の部屋へ案内され、奥さんと4人の子供たち(長女、次女、長男、次男)の元へ。
これまでパキスタン女性は謎の存在だったのだけど、奥さんは笑顔が素敵で、ユーモアもある可愛らしい人だった。
そんな奥さんが、フォーユーと言って大きな袋を手渡してくれた。
中には2つの箱が入っていて、小さい方の箱を開けてみると、ネックレスとピアスが!
ピアスホールが開いていないことが気になりつつも、もう一つの大きい箱を開けてみる。
分厚いバスタオルとかかな?と思って開けると……
服だ~!超嬉しい~!
ちょうど欲しかったんだよ~!
買おうと思ってて、でも値段が気になって買わなかったんだよ~!
オレンジのスパッツが見えたときはギクッとしたけれど、着てみたらそこまで派手派手すぎずかわいい!
早速着させてもらった。
持ってきたスカーフと合うかな?と思って被ってみたら、うーん、と首をひねる奥さん。ダメらしい。
自分の部屋から、黄色いスカーフを選んで巻いてくれた。
そして、一歩下がって全体を見て、「マッチング、good!」
どうやら色合わせがマッチしたことを「マッチング」と言うらしい。
9歳の次女がわたしを見て、「う~ん、マッチング」と満足げに頷いていたのがおもしろかった。
▼帰り際、豪邸の前で撮った写真
スイカをいただきながら(満腹すぎて1つで限界)、スマホでいろんな写真を見せてもらった。
日本のテーマパークやディズニーランド、イオンに行ったときの写真や、末っ子が初めてしゃべったときの動画、長女の発表会のときの動画などなど。
驚いたのは、ジェットコースターに乗ったネット上のある女性が、泣きながら「アッラーアッラー」と唱え続けるという動画を見せてもらったとき。
これをおもしろ動画として見ていいんだ。
庭で子供たちと遊んでいると、「そろそろ荷物を準備してね!」と今回大活躍の長男ハサンくんが教えてくれた。
準備をしに部屋に戻って、シュンと朝ぶりに顔を合わせて、「よう、そっちどうだった?」みたいな感じが可笑しい。
▼庭のハイビスカス
イジャーズさんが私たちを、近くのバスターミナルまで車で送ってくれることになった。
荷物を持って車に乗り込むとき、奥さんと娘たちは家の中から出てきはしない。
もちろんシュンに姿を見せないため。
網戸の奥から見送ってくれてはいるけれど、こんなによくしてもらったのに最後に面と向かってちゃんとお礼ができないのは、こちらとしてはなんともスッキリしない。
でも、シュンが奥さんの顔を見てお礼を言いたいなんて、あちら側からしたらただの迷惑だから仕方ない。
近くのバスターミナルに到着し、イジャーズさんに「ちょっと待っててください」と言われ、私たちは車内に残される。
もしかして、チケット買ってくれてる……?
あちゃー、やっぱり。
しかも、「隣の席も買っといたから、広く使っていいよ」とのこと。
ああああ……
最後に、「いい忘れてたけど、他のパキスタン人の家とかは危ないかもしれないから、あまりついていかないようにね。」と助言をしてくれた。
本当にお世話になりました。
シュンだけ握手をして、別れは潔い。
日本に帰ったらぜひ東京を案内したいところだけれど、財力が違いすぎてこちらが奢られてしまいそうだ。
さあ出発。
ギルギットを目指して、まずはラワールピンディーへ向かう。
ラワールピンディーからギルギットへ
何時間かかったかは忘れたけれど、夕方ピンディーに到着。
そこから少し歩いたところから乗り合いバンに乗り、終点で降りて、15分歩いたところにあるピルワダイのバスターミナルへ向かった。
ギルギット行きのバスはたくさんあるようなので、何人かの客引きに値段や時間、車体を聞いてまわる。
大手(NATCO)は1700ルピー、その他のミニバスは1000~1500ルピーだったので、温泉旅館バスのような車体(1000ルピー)に決めた。
20時に出発らしいので、3時間ここで時間を潰す。
シュンは、イジャーズさんの家を出てからずっとお腹が痛いと言っている。
キリキリ痛むらしい。
そんなわけで2時間くらい前からバス内で待機していたけれど、早めに席を確保しておいてよかった。
出発時には補助席まで出すほどの満席だったから。
結局、4時間半待って出発。
温泉旅館バスは比較的新しかったようで、リクライニングはないものの悪くはなかった。
それに、道がかなり良く、揺れたり酔いそうになったところもほぼなし。
パキスタンの道は、かなり良い。
▼前を走っていた車
休憩はとても多かった。
食堂のようなところでわたしがトイレに行こうとすると、男性が使うところとは別の場所を快く案内してくれる。
それは2階だったり、店の人が使う用の特別な場所だったり。
女性はVIP扱いだ。
ギルギット到着
2017/5/14 ギルギット
大地のうねり
日付は変わって朝。
私たちは相変わらずギルギット行きのバスの中だ。
▼バス内にものすごく見てくる人がいたのでマスクで顔の半分を隠した(もっと怪しい?)
起きたらバスは空いていて、景色は山だらけになった。
地球の溝、大地のうねりというか、本当に壮大な自然を感じた。
▼岩が落ちてくる危険性あり
15時半ごろ、ギルギットのバスターミナルに到着。
ピンディーからギルギットは、19時間の道のりだった。
イジャーズさんの家からは24時間以上かかったけれど、意外に余裕だった。
ここから市内まではちょっと離れているので、乗合バス(スズキ)に乗って市街地へ。
(2人で100ルピー。)
マディナホテルにチェックインをし、散歩を兼ねて早めの夜ご飯を食べに行こうとしたら、宿の庭にいた男の人が、「チャイを飲まないか?」と誘ってくれた。
今から外を散歩するんだというと、あとで夜ご飯一緒に食べに行こうということになった。
彼の名前はマクソード。
パキスタンと日本の文化交流活動をしていると名刺に書いてあった。
ということで外で食べるのは少しにして、軽い散歩で済ますことにした。
街の雰囲気は良さそうだ。
カラッとしていて素朴な大地というか、程よい田舎感というか。
でも、イスラム教がすこし緩いと誰かから聞いていたのはと違って、女性は全然出歩いていないし、いたとしても全身を覆う真っ黒のチャドル、男性は洋服ではなくみんなイスラムのシャツを着ている。
スカーフなしで歩けるかと期待していたけれど、ここもダメそうだ。
でも、ラホールよりはいくぶんかマシに思えた。
ガン見されるけれど、もうちょっと表情が優しいというか、Welcomeの意味も含んでいる感じがして、こちらからも話しかけやすいなという印象。
せかせかしてる風でもないし、密度もそこまで高くない。
うん、ラホールよりかはゆっくりできそうだ。
匂い
約束していた19時にマクソードと夕飯へ。
少し遠いけれどおすすめのおいしい店があるからと、車に乗せてくれた。
まだあまり話してもいない初対面の人に、車でどこか知らないところに連れて行かれるというのはかなり怖い。
15分くらい車を走らせて、店についたら店員全員と仲良さげに握手していたので安心した。
マクソードは、日本との文化交流活動の他にも、車の輸入やツアー会社など、いろんなビジネスをしているらしい。
マディナホテルにいたのも、そのツアー会社の関わりで。
チキンビリヤニ、マトンティッカ、チキンティッカを注文。
シュンは相変わらずお腹が痛いようで、あまり食べられず。
コーラに塩を入れると効くとマクソードに言われて、塩とライムを絞って飲んでいた。
会計は、マクソードが全部払ってくれた。ありがたい。
帰りは、行きとは違う道を通っていたので、わたしは最後までちゃんと家に帰してくれる心配だった。
シュンは、大丈夫でしょと言っていたけれど、なぜだかわたしはまだ信用しきれていなかった。
その理由はあとでわかったけれど、彼から「女好きそうな匂い」がしたからだった。
(そしてその予想は当たり、ちゃんと女好きだった。この日以降も何回もお世話になって仲良くなったけれど、彼と接するときの警戒心は消えなかった。笑)
とにかく、彼は本当にいい人で、問題なく宿まで送り届けてくれた。
長時間移動の割には疲れていないのが不思議だなぁ、と思いながら眠りについた横で、シュンは頭が痛くて痛くて眠れなかったらしい。
そして、翌日からシュンに恐ろしい日々が待ち構えていた……。
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