メイです。
2ヶ月ちょいいたモロッコを出ました。
さ、さびしい……涙
初日
2017/5/15 ギルギット
生き地獄
朝起きたら、シュンがベッドの上でもぞもぞしている。
頭痛がひどく、おでこの真ん中と目の奥がかち割れそうで、目も開けられないほどの痛みらしい。
熱と吐き気もあって、昨晩はほとんど寝られなかったと。
だんだんと腰も痛くなってきて、色んな痛みに耐えるためにベッドの上で常に悶え苦しんでいる。
うわわー……見ていられないほど辛そう。
昨日の朝からずっとお腹が痛いと言っていて、今日になってみてこの症状。
なにが原因なんだろう。
シュンは、こういうのが日本にいたときも1回か2回あった。
一度本気で精密検査を受けてみないとな……。
昼を過ぎても1度も部屋からでてこない私たちを気にして、オーナーのシェルバーズが部屋に様子を見に来てくれた。
「夫の具合悪いんだ」と深刻な顔をして英語で言うと、「ソウデスカー、、ソレハコマ、コマリマス、ネエ」と練習中の日本語を披露してきたので少しイラッとしてしまった。笑
申し訳ないけど、このときはあまり余裕がなかったから、日本語の練習をここでしないでほしいと思ってしまった。
真面目な話なんだから、お互いスムーズに伝わる英語で話してくれ。
夜になっても病状は変わらず、何度も吐いたり、痛みに悶えたり。
病院に行くかどうかはもう少し様子を見よう。
2日目
2017/5/16 ギルギット
挨拶
夜中、シュンが吐いている音がした。
あぁ、今夜も寝られてないんだな。
鎮痛剤が切れてくる時間が地獄らしく、薬を飲んでなんとか生きているような感じ。
これでも昨日よりは少しはマシみたい。
昼ごはんを買いに行ってくる、と言って宿を出ようとすると、頼んでもいないのにスタッフが「オーケーオーケーついてこい」と勝手に先導を切る。
一人で行けるんだけどな。笑
オーケーオーケーの彼と2人で歩いていると、彼の知り合いとたくさんすれ違う。
その度に、よぉ!とかけ寄って一言二言挨拶を交わしていた。
みんながなんて言っているのか聞くと、「君がここにいるからみんなびっくりしているよ」。
本当にここは観光客が少ないんだなぁ。
パキスタン人は、男同士の触れ合いがとても多い。
男友達同士で手を繋いだりするのはインドやネパールと一緒だけれど、パキスタンは少しでも顔見知りの人と会えば握手は必ずするし、ハグもよくする。
だから、オーケーオーケーの彼と一緒に歩いていると、握手かハグばっかりしていてなかなか進まない。
日本と一緒で、挨拶が大事な文化なんだろう。
オーケーオーケー
シュンが、夜ごはんに野菜スープなら食べられそうとのことで、また食材を買いに行くことにした。
部屋を出るときに、昨日BBQをおごってくれたマクソードが登場。
シェルバーズからシュンのことを聞いて、心配で見に来てくれたらしい。
シュンに会ってもいいか?と言われたので部屋に連れて行くと、「何かできることがあれば言ってくれ!」と言って帰っていった。
ここの人たちは本当に優しい。
さ、今回はひとりで外出だ~と少しわくわくしていたら、オーケーオーケーの彼が、オーケーオーケーと言いながらついてきた。
まぁいいか。
ちなみに彼に下心は一切なく、本当にただの親切で、とても献身的なのだけれど、いつもハイテンションでいろいろ空回りしている感は否めない。
オクラ、トマト、生姜、にんにくを買った。
八百屋の店員さんが真面目な顔で「ユーアービューティフル」とわたしの耳元でささやき、バナナ1本をおまけしてくれたので吹き出しそうになった。
帰り道、目があった人がバイと言って微笑んでくれたり、ハワーユーと声をかけてくれたり。
昨日から何度か同じ道をオーケーオーケーの彼と歩いているからか、ちょっと認められてきたかな?
いつもサッと行ってサッと帰るだけだけれど、その行き帰りが今日は少しだけ楽しかった。
自分のご飯を食べてから、野菜スープづくり。
キッチンに行くと、シェルバーズ、オーケーオーケー、マクソードの3人が手伝ってくれるという。
といってもただ切って茹でるだけだし、そんなにやることないよ。笑
野菜を洗うのと、お皿の準備、洗い物をやってくれて、野菜スープ完成。
ただの野菜スープなのに、無駄にお皿を6枚くらい使った。
味付けは塩のみ。
にんにくと生姜と野菜の出汁で、おいしいスープができた。
シュンは久しぶりに口にしたご飯なので、おいしいおいしいと、えらく感動していた。
まだ頭は痛いっぽいけれど、昨日までと比べ物にならないくらい回復している。
3日目
2017/5/17 ギルギット
モモと麺
肌寒く、しとしと雨が降る感じが、猛烈に日本を思い出させる。
日本を恋しく思う瞬間だ。
昨夜はよく眠れたらしい。
調子もかなり良くなったものの、まだ頭は痛いしお腹に違和感があると。
昼、シュンをなかば無理矢理近くのラーメン屋に連れ出した。
メニューは、モモと汁なしラーメンしかなかったのでそれらを注文。
ラーメンは、ソフト麺に野菜がたくさん入っていて、脂っこい。
味は見た目に反して優しく、野菜が多くてよかった。
モモは味とスパイスが強く、ガツンと来る系。
特においしいわけではなかったけれど、栄養は摂れたかな。
そのままいつもの八百屋さんへ。
昨日「ユーアービューティフル」って言ってくれたお店の人、今日はシュンも連れていたから「ハズバンド?」と聞かれた。
ショック受けさせちゃったかなっ!
切ない話
夜ごはんのスープを食べ終わり、洗い物をしようとすると、シェルバーズに「しなくていい!」と絶対に止められてしまう。
「これは私たちの仕事です!あなたたちはゲストですから!パキスタンにお掃除しにきたんですか!わたしたちが日本にいったら、わたしたちはゲストですからやってください!」
シェルバーズは日本語が話せる。
10年前、日本人観光客がたくさんいたギルギット。
2000ドルを親に出してもらって、イスラマバードの大学で2年間日本語を勉強した。
当時はツアーガイドなどもしていて、今よりもっとすらすら話せたそう。
で、ギルギットに戻ってきたら、日本人観光客が全くいない!
親に、「大金を払ったのにあなたは日本語を忘れた!」と今でも怒られるんだそう。
「日本人にこの宿のことを広めてくれ!」といつも言われる。
切ない話だよなぁ。
ぜひともみんなこの宿に来て欲しい……
それにしても、日本語を話しているときの彼はいきいきとして、本当に嬉しそうだ。
4日目
2017/5/18 ギルギット
イタい帽子
シュンはかなり回復してきたらしいので、いつぶりかのシャワー。
やっとケバブ臭がしなくなる。
嘘ではなく、こっちで生活していると体臭までスパイスの匂いがしてくるのだ。
まぁ、スパイスを摂取しているから当たり前と言っちゃあ当たり前だけど。
今日はひさしぶりにすごく気持ちのいい天気で嬉しい。
昨日の残りの野菜スープを温めて、葉っぱとお湯と塩を少し足して。
野菜の出汁って本当においしい。今回改めて知った。
特にトマトの出汁がすごくおいしい。
今日は、ギルギットに来てから初めてこの街を散策する。
すごい。山に囲まれる生活ってこんな感じなんだ。
初めての感覚。
右も左も前も後ろも山山山。山ってデカイなー
本当にすごいし、ものすごく綺麗だ。
少し歩いて、やっぱりシュンがあまり調子が良くないと言う。
まだだめか~。
じゃあ今日はささっとまわって帰るかね。
帽子屋。
実は、わたしはここに来る前からパキスタンの男の人がかぶるこの帽子に期待していた。
写真で見て、これ絶対欲しい!と思っていた。
でも実際にかぶってみたら、全然イメージと違った。
なんていうか、イタい感じ。
もっとベレー帽みたいに可愛くかぶれるのかと思った。
おじさんが被るからかわいいんだわ……
誰のための
なにか少し食べたくて、良さげな食堂に入ろうとしたら、君はあっちだ、と倉庫のようなところを指さされた。
女、または女連れは、男たちとは別の空間で食べるのがよしとされるのだけれど、この小さなお店には専用の空間が用意されておらず、倉庫のようなところで食べろと言われてしまったようだ。
なんか嫌だなと思って、ここで食べるのはやめた。
これって、誰のためなの?
女がいたら隔離しなきゃいけないっていうイスラムの決まりなのか、女に配慮しているのか、女を連れている男に配慮しているのか、他の男のお客さんに配慮しているのか。
少なくとも旅行者のわたしには不愉快な制度ではある。
でも仕方ないね、この国にお邪魔させてもらってるのはこっちだから。
ハンバーグケバブとナンを買って、八百屋できゅうりとトマトを買って、戻ってサンドにして食べた。
食べ終わると、いつものようにシェルバーズがチャーエを淹れてくれた。
淹れるところを見せてもらうと、お湯→茶葉(CTC)→ミルク→沸騰、という流れだった。
ほとんどがお湯なのと、茶葉がほんの色付け程度だったのを見て、チャーエが薄いわけがわかった。
砂糖を入れて、初めてチャーエだな。
夜ご飯は、ハンバーグのお店でビーフカライ。
このガッツリな量の肉をこの値段(1人110ルピー)で食べられるのは、今まで見てきた他の国でもなかなかない。
20時には店はほぼ満員で、見渡す限り男ばっか。
女の人は、やっぱり窮屈だと思う。
こうやって外食も自由にできないし、隔離されるし(それが女性にとって楽なのかもしれない)、暑くても肌を出せないし、ファッションは自由に楽しめないし。
男女の差が、悔しい。
生まれた頃からそうだとなんとも思わないかもしれないけれど、日本から来たわたしからしたら、すこし気の毒にも感じてしまった。
誰もが敬虔なイスラム教徒なわけではなく、信仰心にも度合いがあるはずなのに、画一的にこうしろああしろと決められてしまって選択の自由がない。
敬虔なイスラム教徒の女性たちは、自分たちは他のどの国の女性よりも幸せだよと思っているかもしれないけれど、もしそうではない女性が他の国に来てみたら、自由さに喜びを感じると思う。
▼こういうところは嫌いじゃない
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