メイです。
世界旅行記、2018年3~5月のモロッコ編です。
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ビサラ人気店
2018/3/22 モロッコ マラケシュ
朝起きてシャワーを浴びる。
途中で水になった。
準備が済み、部屋でパソコンをしていると、8時59分にノックの音。
9時に待ち合わせをして、1分前に迎えに来てくれるアブドとは、日本人と接しているのとなんら変わらない感覚でいられるので、わたし的にはとても楽だ。
今日はアブドが通っている大学に遊びに行く。
その前に朝食を。
この前夕食を食べた場所のあたりに、かなり繁盛しているビサラ屋が。いいねえ!
客は男の人しかいない。
働きに出る前にここでご飯を食べるんだと。
小ぶりな器に入れられたビサラは少量で、半分はオリーブオイルだった。
オリーブオイルを入れているところを見たけれど、1杯あたり大さじ2杯も入れていた。

アブドが、ビサラは2杯までおかわり無料だと教えてくれた。
それって他の店もなのかな?
私たちも真似しておかわり。
するとなぜか3杯目もサービスしてくれた。
油過剰摂取!


アッツァイ(ミントティー)もおかわりができるようで、2杯目を飲み終わってコップを返そうと差し出すと、また注いで返されてしまった。
え~!と驚いていると、
頭の後ろに大きな切り傷のある強面の坊主男がすかさず「This is Morroco.」。
カッケエ!
会計はアブドの言っていたとおり、すべて1杯分の料金だった。
ビサラが6dh(約72円。1dh=約12円)、アッツァイが1dh。
ここで、ムサにも聞いた質問をアブドにもしてみた。
なぜアッツァイは高いところから注ぐのかと。
するとやはり、あの泡を出すためだと言う。
なぜ泡を出すのがいいのかと聞くと、わからないらしい。
見た目の問題?と聞くと、そうではないと。
でも泡(ターバンというらしい)がないとモロッコのミントティーではないらしい。
ビールの泡やカプチーノの泡とは明らかに違うから、高いところから注ぐというモロッコの作法の印、みたいなものなのかなぁ。
日本にもきっとそういうのがあるよなぁ。
大学へ
相乗りタクシーで大学へ。1人5dh。
これは安い。
まあ10~15分くらいの距離だけど。
大学周辺にはいくつかキャンパスがあり、学生がわんさかいる。
女性もたくさんいたのが意外だった。

大学の近くで降りてちょっと歩く。
「なんでマラケシュの建物はピンク色なの?」
マラケシュはピンクシティと言われている。
「マラケシュはピンク、シャウエンは青。これはその土地の歴史をリスペクトしているんだ。
あそこに白い家があるだろう?あれはタックスを払っているんだよHehehe(アブドの口癖)」
ふ~ん、マラケシュで採れる土の色がピンクっぽいからだと勝手に思っていた。
大学に到着。
中に入ると、たくさんの若者が慌ただしく行き交っている。
ちょうど授業の合間の移動時間だからなのか、少し東京を思い出すほどの混雑度。
廊下のちょっとしたスペースで、数人の学生たちが、過ぎゆく人に向かってスローガンのようなものを叫んでいる。
応援団かと思ったけれど、これは学生運動だ。
アブドは今日授業がないけれど、この学生政党の校内演説に参加するために来たらしい。
映画『コクリコ坂から』を思い出した。
昔の日本の大学もこんな雰囲気だったんだろうか。
1人が前に出て、なにかを訴え始めた。
「アブドはあんな風に前でしゃべらないの?」と聞いたら、
「僕は人前に出ると緊張しちゃうから」って。
ほんとどこまでも日本人っぽいな。笑
アブドがしばらくここにいるというので、私たちは気持ちのいい日が当たるベンチで休憩することにした。
すると1人に話しかけられた。
「君たちはここで日本語を教えている先生か?」
「いやいや、ただのツーリストだよ」
「そうか、この学校には日本語クラスがあるからさ。
なんでこんなところにいるんだ?観光客なんて来ない場所なのに。」
「友だちがいるから連れてきてもらった」
「そうなんだ、日本人は皆シャウエンに行くよね。
マラケシュは数日であとはシャウエン、エッサウィラ。あと砂漠ね。
君たちは逆だね」
アブドが探しに来てくれて、校内を案内してくれた。
このクラスは今イスラム教の授業をやっているから男と女の座る場所が別々なんだよ、とか
これは昔学生団体をして殺された人の写真だよ、とか。
いろいろ話をする中で、アブドのオリジンがベルベル人だということを知った。
モロッコには65%のアラブ人と、30%のベルベル人という民族が住んでいる。(外務省HPより参照)
「日本に、オリジンがアマズィク(ベルベル人)の有名人がいるよ」と言ったら、アブドは知っているようだった。
前に誰かに聞いたらしい。
「たしか、女優だろ?」
「そう」
「彼女の親のどちらかのオリジンが、アルジェリアのアマズィクらしいね。」
「へーそうなんだ。よく知ってるな。」
ちなみに沢尻エリカのことである。
母親がアルジェリア系フランス人(アルジェリア生まれフランス育ちのベルベル人)。
校内にいい感じのところがあったので、写真撮ろうとしたら、警備員に注意されてしまった。
すぐにアブドが警備員と話をしてくれた。
前は撮っても良かったけれど、今はいろんな政治的な団体がいたりするから、デリケートになっているらしい。
アブドの友達らとご挨拶。
みんな非ムスリムだそうなので、名前は伏せておく。
「アッサラームアレイコム」と言うと、その挨拶を言う必要はないと言われた。
(アッサラームアレイコム=あなたの上に平和がありますように、というイスラム圏共通の宗教的な挨拶)
みんな日本の文化に興味を持っていて、アニメや映画が大好きらしい。
ナルト、ワンピース、ワンパンチマン、デスノート、進撃の巨人……
んーワンピースは途中までしか読んでないし、ちゃんと読んだのはデスノートしかないや。笑
私たちは日本人にしては珍しく、漫画やアニメに興味がない方なので、この手の外国人と話すときは少し身構えてしまう。
なにで見てるの?ネット?と聞いたら、TVアニメらしい。
え、テレビで放送してるの?
それと、「バーカってどういう意味?アニメによく出てくるから」って聞かれた。笑
1人は、日本の伝統文化や日本人についても興味津津らしく、いろいろ質問してくれた。
「柔道やったことある?」とか、「日本人は普段の挨拶で握手をあんまりしないんだよね」(モロッコ人、特に敬虔なイスラム教徒は挨拶で握手をする)とか、
「相手をリスペクトするからあんまり目を合わせないんでしょ?」とか、おじぎのこととか。
「じゃあ相撲は知ってる?」と聞いてみたら、
「ああ、あの人たちは米と卵をいっぱい食べたんだね」って。笑
「モロッコはどう?」と聞かれ、「まだ3日だけどすごくいいよ」と答えた。
すると、「旅行で来る分にはいいだろうけど、1,2年住んだら問題だらけだよ」と言われた。
「まぁそうだろうけど、それは日本も全く同じだよ」(そしてきっとどの国も)
「でも日本の問題はモロッコよりはマシだろう?」
「いやいやそんなことない、ビッグプロブレムだよ。例えば憲法改正のことだったり…」
そのあとはアブドが「俺が説明する」と割って入ってきて、アラビア語で詳しく説明する。
よく知ってるな。
一緒にバス停まで歩く間も、政治的な話が続く。
マルキシズム(社会主義)の理想を話すアブドに、シュンが言った。
「日本では社会主義はあまり良くないとされているよ、北朝鮮と中国が近くにあるから。」
「知ってるよ、でも、北朝鮮や中国、ロシアの社会主義は本当の社会主義ではないよ。
あれは独裁政治だ。権力が集中していて富裕層が労働者を圧迫してる。
本来は複数政党があって、武力ではなく言論で戦うべきだ。」
物腰が柔らかく、優しくてどちらかというと物静かなタイプのアブドだが、こういう話になると相当熱い。
アブドは来年宿のアルバイトを辞めて、勉強に専念するらしい。
バスの中でシュンと、今日いろんな人に会う中で気づいたことについて話した。
それは、日本には気軽な仲の人との決まった挨拶の言葉がないよね、ってこと。
モロッコで言う「サラーム」、英語で言う「Hi」がない。
モロッコには「おいしい」という意味の言葉がないと聞いて、なんで?!と驚いたけれど、日本のこれも他国の人たちに驚かれそうだ。
日本では、仲の良い友だちと会うときに「やぁ」とか「こんにちは」とは絶対言わない。
久しぶりのときは「久しぶり!」と言うが、そうではない、いつも会う友だちとはなんて言っているだろう。
2人で話し合った結果、そういうときに言う挨拶といえば、「よぉー」とか「おぅ」とかいう謎の音。笑
「最近どお?」とか「元気?」とかは、相手の状況によっては聞くかも。
疲れてもいないのに「おつかれ~」と、朝でもないのに「おはよう~」という人もいるけれど、これに対しては違和感がある人も多いのではないだろうか。
とにかく、決まった挨拶がない。
会って最初の声かけのところで、なんて言おうかな、と一回つまづく。
顔を合わせたときに、スッと自然に距離を縮めることができない。
言葉はその国の文化をもろに表していると思うから、これって日本人の対人関係の特徴を表しているんじゃなかろうか。
仲がいい友達のはずなのに、出会い頭で一瞬なぜか気まずいなと思うことがあったのは、このせいな気がしてきた。
昼ごはん
そんな話をしたあと、みんなと別れて私たちはいつもの安食堂群でご飯。
つみれのトマト煮10dhと、白インゲン豆の煮込み6dh。
トマト煮が、昨日食べたものよりコクがあってハマる。


デザート屋のヨーグルト、今日はプレーンではなく、オレンジ味のヨーグルトを食べてみよう。
オレンジちょうだい、と言ったけど通じない。
すると隣の人が、「レモン!」とかわりに注文してくれる。
あ、これレモンなの?
食べてみると、マンゴーの味がする。オレンジの味もするし、リンゴも入っている。
とにかくおいしいなぁこれ。
食後のお口直しに外せなくなってきた。5dh。

今日は初めてジュースも注文してみた。5dh。
注文したら、ペットボトルに入っている何かしらのスムージー的なジュースを、自分でコップに入れて飲む。
なにを何杯飲めるのか分からず観察していると、みんな3杯以上は飲んでいるし、サイゼのドリンクバーみたいに色んな味をまぜこぜにしている。
てきとうに何味か聞いてみると、赤いジュースはなんどビーツだった。そして緑はきゅうり。
他にもオレンジ、マンゴー、パパイヤ、デーツなどのジュースがあった。
健康的!

宿に帰って休憩。
もう食べてる最中から疲れて眠かった。笑
まだ15時だけど、今日も濃い1日だった。
昨日携帯を紛失したことなどすっかり忘れるくらい。
今日も夕日が綺麗だ~。


エスカルゴとハリラ
20時頃、夕飯を食べにふらふらとフナ広場へ。
エスカルゴ、ちょっと気持ち悪いけど食べてみないとなぁと思っていたので、
5dhと書いてあるお店に座ったら、何も言っていないのに勝手にエスカルゴがお椀に盛られてきた。
食べていて途中で気づいたけれど、これ大きいお椀やん。10dhやん。
やられた。
フナ広場でけっこうやられている。笑

味は、ん~そんなにおいしくない貝って感じ。
数年前、ボロアパートに住んでいたときにお風呂によく出たかたつむりを思いだしてしまって、目をつぶってしか食べられなかった。
だってツノとかあって、まんまかたつむりだし……

フナ広場から東の方にちょっと歩いて、羊肉たっぷりのサンド10dh。
油とボリュームがすごい。
これは良い。

そのあと、昨日アブドと行ったハリラ屋へ行ってみたら、全部片付け終わっていた。
あ~終わっちゃったか~と悔しがっていたら、かりんとうみたいなおやつ(シバキヤ)をくれた。優しい。
明日16時からやってるみたいだからまた来よう。
近くの店でハリラと、ホブスにゆで卵を挟んだだけの超シンプルな卵サンドを。


物乞いが店に入ってきて、何かをくれとおねだり。
一人のおじさんが、ハリラを1杯奢ってあげていた。
白熱プチ議論
宿に戻って、アブドにお湯を沸かしてもらう。
アブドにもコーヒーを渡して、ついでにレセプションでしばらく談笑。
アブドと、もうひとりのスタッフのスハイブ、それから数学の先生のハリル先生、それからサマルくん。
アラビア文字を教えてもらったり、日本語を教えてあげたり。
「メイ」を漢字で書いて見せたら、どの部分が「M」の音なんだ?と言われて答えに窮したり。
名前の由来の話。
アブドゥラティフの「アブドゥ」は「下僕」、「ァラ」が「The」、「ティフ」が優しい。
=「最も優しい人(アッラー)の下僕」。
アブドゥルサマル君の「サマル」の意味は、「everlasting」だと言っていた。
アブドは「唯一の」って意味だよ、って言っていたけれど、違うよって言われてた。違うんかい。
イスラムの文化についていろいろ聞いているうちに、プチ議論。
ここからも一応名前を伏せて、AくんBくんCくんでいこうと思う。
Aくんは、イスラム教自体を否定したいわけではないらしいが、シャリーアが現代に則さない、と。
トルコやマレーシア、インドネシアのように政教分離するべきだし、他宗教が共存する国が良いと。
Bくんの父はイマーム(イスラム教の指導者)で、大きくなってから父にイスラム教に関するいろんな質問を投げかけたが、父は答えられなかったと。
それまでは神に人生を捧げてきたけれど、17歳でやめたらしい。
17歳までの自分の人生はクソだったと言っていた。
悪い行いをしたら死ぬときに地獄に行くはずなのに、なぜ現世でも罰を受けなければいけないのか?
ムスリムをやめることはモロッコを裏切ることとは違うのに、死ななければいけないのはおかしい、と非ムスリムの意見。
敬虔なイスラム教徒のCくんは、イスラム教徒をやめたら殺されるのはおかしくない、と反論していた。
彼は、コーランは人類で初めて人権を書いた本なんだと誇らしげに言った。
でもAくんは、女性に人権なんかないって言いたいみたいだった。
女性の話から、なぜ女性はヒジャブをかぶらなければいけないのか、という話。
Cくんは、女性をレイプなどから守るためだと言っていた。
それを聞いたBくんは、なんだと?シット!と。まぁ笑いながらだけどね。
それからBくんは女性がヒジャブを被るようになったオリジンを教えてくれた(Cくんはこの話は間違っていると言っていた)。
昔、奴隷の女性と自由な女性がいた。
奴隷の女性は、レイプなどをされる女性たち。
自由な女性は、夫や子供がいる普通の女性たち。
昔メディナ(旧市街)にはトイレがなくて、メディナの外にあるトイレに行かなきゃいけなかった。
夜、女性がトイレに行くと、自由な女性が奴隷の女性と間違われてレイプをされる事件がたくさん起こった。
女性たちを区別するために、自由な女性にはヒジャブをかぶるように決めた、ということだった。
Cくんは、この人たちの言うことを信じないでくれ、と必死に訴えてきた。
Cくんは、この地球や自然、宇宙は、自然にできたものではなく誰かが作ったはずだ、と。
これは、パキスタンのギルギットに行ったとき、宿のスタッフのシェルバーズたちも同じことを言っていた。
こんな美しいものが自然にできあがるわけがないだろう!と。
Aくんが、「トモダチハキケンダ」と日本語で言ったので笑ってしまった。
そうね、Cくんに、こいつらはアンムスリムと言って警察に電話されたら逮捕だもんね。
などなど、かなり熱い討論。(名前を伏せるのもここまで。)
そのあとはアニメや漫画の話。
みんな私たちよりもよく知っている。
アウトレイジがおもしろかったと誰かが言い出し、Youtubeで動画を漁る。
「何やってんだこの野郎!なめてんのかお前!」みたいな煽り言葉がおもしろいと真似をするアブド。
字幕なしなのに、意味もわかっていてすごい。
ヤクザってこうなんでしょ?ああなんでしょ?って聞かれても、
ヤクザに会ったことないから知らん、と言うとちょっと寂しそうな顔する。
外国人ってほんとヤクザ好きだよな~日本人より詳しいもん。
侍についても同じく。
アブドは日本人のヤクザの友達がいるらしい。
この宿に泊まっていた日本人。
どうせアブドの思い込みだろうと話を聞いてみると、本物のヤクザっぽかった。
そんなこんなで気づいたら日付が変わっていた。
途中部屋が臭くなって、お前おならしただろーみたいな全世界共通の流れになったけれど、
女のわたしのせいにしないのは、さすがイスラム教国だなと思った。笑
あー楽しかった!
寝よう。
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