シュンです。
世界旅行記、2017年8月のイラン編です。
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今日もごちそう
2017/8/22 イラン ラシュト
朝食は、昨日いただいた夕飯の残りもの。朝から豪華だ。
改めて食べてみて、やっぱりうまい。
昨日、料理名とか調理法とか色々聞いたけれど、刻んだり潰したり混ぜたり様々なスパイスを使ったりと、どれもびっくりするくらい手が込んでいた。
素材を活かしたシンプルな調理法が多い和食とは全然違って面白い。
昼にコイルヒーターを使っていたら、急に故障してしまった。
宿の近所に街の電気屋(電球とかコンセントとか部品が売っている店)があったのを思い出し、修理できるか聞いてみることにした。
店のおっちゃんに聞いてみると、すぐに直せるとのことだった。
なれた手つきでコイルヒーターを分解し、店のどこからか新しいコードを持ってきて、あっという間に直してくれた。
さらにスイッチを付けたいとリクエストしたのにも対応してくれて、on/offの切り替えができるようになった。
修理代を聞くと、「いらないよ」。
いやいや、普通に修理だったから払おうと思っていたのに。
こうなると、もうお金は受け取ってくれない。
おっちゃん、ありがとう。
ラシュトの街は、昼も夜も賑わっていて、街歩きが楽しい。
今日は、シーラーズで会ったビジャンさんとその友人のアリさんが、アリさんの家に招いてくれた。
ビジャンさんは今も日本在住で日本語ペラペラ(分かりやすく書くためにペラペラって書いているけど、本当はこの表現は失礼なくらい)。
そしてアリさんも以前日本で仕事をしていたので、ペラペラ。
すごく静かに滑らかに話すので、顔を見なかったら日本人が喋っているように聞こえる。
アリさんは日本人の奥さんと娘さんと暮らしている。
昨日と同じく広い家なんだけれど、インテリアになんとなく日本ぽさを感じる部分があって、すごく落ち着くお宅だった。
ビジャンさんは西荻窪でペルシャ絨毯屋を経営している。
→ペルシャ絨毯・ギャッべ・キリム直輸入・卸販売バハール
お菓子とコーヒーを頂いた後、同じ建物にあるアリさんの姉の家へ。
今日の夕飯もすごい豪華。そして昨日のナビットさんの家の料理とも違う。
ビジャンさんが「日本人はラシュトの食べ物好きだと思いますよ」と言っていたけれど、たしかにそうかもしれない。
こんな夕飯に招待してもらって、本当にありがたい。
食後には、フルーツにケーキにお菓子にチャーイ。
明日ラシュトを出て夜行バスでタブリーズに向かう予定だと言うと、昼にマスレーという場所に行こうと言ってくれた。
マスレーとイラン流のもてなし
2017/8/23 イラン ラシュト(マスレー)~タブリーズ
午前はパッキングをして、コイルヒーターで昼食用の野菜を茹でた。
9時過ぎ頃、ビジャンさんがノックしてきた。
あれ、出かけるの午後じゃなかったっけ、と思いながらドアを開けると「バスチケット買ってきたから!」と。
21時の、タブリーズ行きVIPバス。
「アリさんが買ってくれたよ」
昨日夜遅かったのに、わざわざこんな朝早くにバスターミナルに行ってチケットを買って渡しに来てくれたと思うと、どう感謝していいかわからない。
バスはVIPというおそらく一番高いグレードのもの。
びっくりしつつもお礼を言うと、「じゃあ、またあとで~」と帰っていった。
イスラム圏の人たちは本当に親切。というか親切という言葉では表せない。
それはパキスタンのときもすごく感じたし、イランでも感じている。
チェックアウトをして、バザールをぶらつく。
くるみ500gとレーズン250gで9万リアル(約300円)。
めちゃくちゃ安い。日本の半額以下。イランの物価は安くはないけれど、ナッツ類やフルーツ(桃やぶどう)はすごく安い。
うろうろしていたら、日本語で声を掛けられた。
日本で働いていていたというおっちゃん3人組。12年くらい居たと言っていたかな。
次々に日本語で話しかけてくる。
「俺は日本人大好き。日本は1番いい国だよ、ほんとに」
「いや、イランが1番だから日本は2番だ」
「・・・」
これには笑った。
それにしても、出稼ぎで働きに行っていた国をこんなに好きになれるものなのだろうか。
広州で会ったマリ人が「中国は好きか?俺は嫌いだ。良い人は2%で残りの98%は悪い奴らだ」と言っていたのを思い出した。
出稼ぎだと働いてばかりだろうし、決して地位が高いわけでもないと思う。
大変なことが多いんじゃないかと思ったけれど、きっとおっちゃんたちにとって日本での体験は良いものだったのだろう。
それは話してくれる内容やテンションから分かる。
「何かあれば俺らはここにいるから、いつでもきて」と電話番号を教えてくれた。
おっちゃんたちが数十年前に日本で触れた優しさが、いまここで僕たちに回ってきている。
そして僕たちは、この旅で受けてきた数え切れないほどの親切や優しさを、次の誰かに繋がなければいけない。
それも、義務感からではなく心から自然に湧き出るものを、誰かに繋ぐべきだ。
そうしてその誰かがまた別の人へと繋ぎ、輪が広がっていけば良い。
▼写真を撮ってけ!と言われたので
広場のベンチで昼食のパンと茹で野菜、フルーツを食べる。
座っていると、色々な人が話しかけてくる。
「こんにちは、イランへようこそ。イランはとても美しい国だよ。イランは好き?イランはグッド?」といういつもの流れ。
「イランのどこに行ったの?」
「イランについてどう思う?」
「ラシュトはどう?」
「イラン人はどう?」
イランの人はイランの評価をかなり気にしているようだ。
しかも、声のトーンや表情から「イランはどう?(良いでしょう??ねえ??素晴らしい国でしょう!?)」というふうに聞こえる。
こっちが答える前から誇らしい顔をするの、やめてもらえないかな~。
15時にアリさん・ビジャンさんと合流して、マスレーへ。
マスレーは山の中にある小さな村で、立体迷路のような不思議な景色を見られる場所として、近年は観光地化が進んでいるらしい。
山の斜面に沿って立ち並ぶ家の屋根の上(屋上)が、一段上の道として使われている。
以前は観光客はほとんどいなかったが、今は土産物屋やお茶屋が増えて、少しずつ村が観光で潤ってきているのだそうだ。
客引きもそこそこいる。
アリさんがボソっと「ここの人たち商売うまいですよ笑」。
レストランでハンバーグ型ケバブと焼きトマト、ライス、アーシュとナンを食べ、チャーイを飲んだ。
ここもアリさんが払ってくれた。
イスラム教には「旅人をもてなしなさい」という教えがある。
もともとは旅というのはメッカへの巡礼を意味していたであろうから、巡礼者を労い、もてなすという風習から来ているのだと思う。
現代でも、「訪問者をもてなす」ということが、文化として根づいている。
だから、アリさんが家に招待してくれたことや、今日マスレーに連れてきてくれたこと、バスチケットを買っておいてくれたことも、全てイラン流のスタイルで「もてなし」てくれている、ということなのかもしれない。
日本人としては、こんな風にお世話になりすぎると「申し訳ない」と思ってしまう。
けれども、このもてなしをしっかりと受けて、感謝をして楽しむことこそが、イランやイラン人たちへリスペクトを表すということになるのではないか、と思った。
「おごってもらってばかりで申し訳ない」という気持ちは忘れて、「次は自分が日本のスタイルでもてなそう」と考えれば良い。
歩いていると、イラン人観光客にときどき「一緒に写真を撮ってほしい」と言われる。
親子連れに声をかけられたときに、息子が英語を喋れて「どこから来たんですか」とか「イランのどこに行きましたか」とか色々話し、最後にすごく丁寧に「僕たちは~に住んでいるんだけど、もし時間があったらうちに遊びに来ませんか?」と言われた。
今日タブリーズに行くので残念だけど、と断った。
その辺で見かけただけの外国人を家に呼ぶ。これがイラン流の「もてなし」なのだ。
一連の流れを見ていたアリさんとビジャンさんは、「ここでは芸能人みたいだね、ハハハ」と日本語で言ってくる。
もう色々と日本人っぽすぎる二人の反応とか、日本語での会話がおもしろい。
ビジャンさんに至っては、普段日本にいるのでイランに来るときは完全に観光客だと言っていた。
日本で大変なこととかありますか、と聞くと、「ないですよ、ほぼ日本人みたいなもんだから笑」と。
ラシュトへの帰り道に、クッキーが名物の街を通り、当然のようにクッキーを買ってくれた。
シナモンと砂糖が入っている、クッキーというか見た目は月餅のようなお菓子で、できたての熱いのがおいしい。
これとコーヒー紅茶は最高ですよ、と言っていたけれど、たしかに最高だと思う。
アリさんは用事があるらしく、途中でタクシーを呼んで、ドライバーにバスターミナルまでと言ってお金も払ってくれた。
さらに、ビジャンさんがさっき買った大量のクッキーと、マスレーで買ったごまのお菓子をどっさり持たせてくれた。
ビジャンさん、アリさん、最後までありがとうございました!
おかげでイラン最後の街で楽しい思い出ができました。
タブリーズ行きの夜行バスに乗り込み、この二日間の「もてなし」に感謝しながら、いつの間にか眠りについていた。
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